「アニマル・ウェルフェアサミット2016」レポート。小池都知事「殺処分ゼロは人の教育から」

アニマル・ウェルフェア

先日告知していた「アニマル・ウェルフェアサミット2016」におじゃましてきました!8月26日(金)に行われたメディア向けのプログラムと、小池百合子東京都知事の特別プログラムを簡単にレポートします。

動物愛護とアニマル・ウェルフェア(動物福祉)の違い

「アニマル・ウェルフェアサミット2016」は、フリーアナウンサーの滝川クリステルさんが立ち上げた一般財団法人クリステル・ヴィ・アンサンブルが主催するイベント。目的は"アニマル・ウェルフェアを正しく知ってもらうこと"です。26日(金)は、殺処分ゼロを目指す動物保護・愛護団体と、行政・自治体との連携を目的とし、27日(土)は、一般の愛犬家・愛猫家・子供たちに命の大切さを知ってもらうことが目的です。

ペットホームウェブがおじゃました26日(金)は、「アニマル・ウェルフェアに基づく動物福祉・倫理について"気づきから本質へ"」と題されたメディア向けのプログラム。ご覧のとおり(トップの写真)会場は満席で、メディア関係者のアニマル・ウェルフェアへの関心が高さが伺えます。

まずは、ドイツで獣医師をする傍らドッグ・ジャーナリストとして活動するアルシャー京子さんが、日本の動物愛護と欧米のアニマル・ウェルフェアの違いについてお話してくれました。アニマル・ウェルフェアとは「動物の理学的、心理的幸福」のこと。日本では"動物愛護"という言葉のほうが聞き慣れていますが、愛護には「かわいがる」という意味が入ってくるため、アニマル・ウェルフェアは動物愛護ではないそうです。無理に和訳すると"動物福祉"ですが、ピッタリ当てはまる言葉がないので、そのまま「アニマル・ウェルフェア」としたのだとか。

アルシャー京子さん

そしてアニマル・ウェルフェアには、以下の3つの要素が不可欠とされています。
<アニマル・ウェルフェア3要素>
 1.健康と体の機能:疾病と障害のない暮らし、エサ、水、寝床
 2.感受性:痛みと苦悩の回避、ポジティブ感情の経験
 3.自然な生活:体の動き、社会性行動、探索など

1.と2.については、意識している方も多いと思います。しかし3.となると、どうでしょうか?
アルシャー京子さんは例として、犬をカートに乗せたり短いリードでお散歩させることを取り上げました。そもそも犬はニオイで周囲を「見て」いるので、そのニオイが何であるか誰であるかが分からなければ、理解したいからニオイに近づいて嗅ぎたいと思う動物。カートで犬をお散歩させるのは、そのニオイが何だか分からないままになりストレスになってしまうのだとか。短いリードでお散歩して犬が行きたいところに行かせてあげないのも同様です。

ワンコの「嗅ぐ」行動を妨げるのは、大きなストレスになります

次にスウェーデンに在住するドッグ・ジャーナリスト藤田りか子さんが、日本のメディアの向けのプログラムとしてある苦言を呈しました。それは「動物の擬人化はダメ」ということ。藤田さんは特に日本では顕著だと指摘し、動物への正しい理解にならないと訴えました。
当ペットホームウェブもぺっ太をマスコットキャラクターにしてしゃべらせたりしています。これも動物の擬人化に当たると思いますが、多くの人に分かりやすく伝えたい、楽しく伝えたいということは、絶対NO!ではないかと思います。この問題、専門家や学者さん対メディア側でつねに攻防戦が繰り広げられています。結局は双方が歩み寄るしかないのでは、と…。

小池都知事は「東京都の殺処分ゼロは人の教育から」

26日(金)最後のプログラムは、小池百合子東京都知事を招いて行われた「東京殺処分ゼロを目指して」。ペットの殺処ゼロを公約に掲げて都知事選を勝利した小池さんに滝川クリステルさんがインタビューしました。
「殺処分ゼロ」の公約については、これまで環境大臣や自民党の動物愛護の議員連盟の会長を務めていたため、殺処分の状況やペットショップでの子犬・子猫の販売について大きな不満を抱いていたという小池都知事。都知事選に相応しいかどうかはさておき、「この一文は入れたい」と公約に盛り込んだそうです。

今後の東京都の殺処分ゼロに向けては「人間教育から始めていきたい。慈しむ気持ちを子どものころからちゃんと育てていくことに力を入れたい」とのこと。さらに「NPOの方々や市区町村にも都がバックアップしていく」としました。

その後、ご自身の愛犬が阪神大震災のときの2匹の保護犬を引き取ったことなど「ワンちゃんの話だったらあと1、2時間話せるんですが」としながら、滝川クリステルさんと握手を交わした小池都知事。「東京殺処分ゼロ」へ動き出した頼もしい女性2人に注目です!
ペットの殺処分が未だ行われている日本は確実に欧米に遅れを取っています。1日でも早くペットの殺処分をなくすためにも、アニマル・ウェルフェアの意識を浸透させ、愛護する(かわいがる)前に行動しなければ、と感じました。

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