ペットを飼う人が怠ってはいけない「飼い主の責任」7つとは?
誰もが知っていることですが、ペットを飼うことには"飼い主の責任"が生じます。でも、「具体的にどんなこと?」と聞かれると、「最期まで面倒をみること」以外、うまく言えない人も多いのでは?
そこで今回は「飼い主の責任」についてまとめてみました。
動物管理愛護法の基本原則
私たち飼い主とペットのことは、動物愛護管理法(動愛法)で定められ、そして守られています。
動物愛護管理法とは、「人と動物の共生する社会」を目指す法律。管轄は環境省で、動物の取り扱いに関する基本原則と責任を"飼い主と動物取扱業者が守るべきもの"として定めています。
基本原則
すべての人が「動物は命あるもの」であることを認識し、みだりに※動物を虐待することのないようにするのみでなく、人間と動物が共に生きていける社会を目指し、動物の習性をよく知ったうえで適正に取り扱うよう定めています。
「動物愛護管理法の概要」環境省
※「みだりに」の意味は、「正当な理由や目的がなく」ということ。正当な理由や目的の例としては「食用にするための牛や豚などの屠殺」が含まれます。
すばらしい法律ですよね!しかしこれには、動物をきちんと扱わない人や虐待する人がいるから立法されたという背景があります。そして未だ悪質なブリーダーやペット業者、飼い主は後を絶ちません。動愛法を正しく理解し、遵守することが私たちの飼い主の責任と言えます。
「飼い主の責任」7つとは?
では、ここからひとつずつ「飼い主の責任」を見ていきましょう。
1.動物の健康と安全の保持
動物の種類や習性などに応じた飼養保管を適正に行い、動物の健康や安全の保持に努めること。
2.危害や迷惑の防止
動物が人の生命や財産などに害を加えないとともに、人に迷惑を及ぼさないようように努めること。
3.感染症の知識や予防
狂犬病、鳥インフルエンザなど「人と動物の共通感染症」への正しい知識を持ち、感染予防のために必要な注意を払うこと。
人と動物の共通感染症とは…
- 人と動物の間で感染する病気。動物由来の感染症ともいう。
- WHOでは「人と人以外の脊椎動物の間で自然に移行する病気または感染」と定義。
- なかでもペット由来の感染症に注意。免疫力の落ちた高齢者などが発症しやすい。
- 詳しくは厚生労働省が毎年出している 動物由来感染症ハンドブック を参照。
4.所有の明示措置
動物の遺棄や脱走を防ぐため、首輪やマイクロチップで所有動物であることを明示するよう努めること。
2022年6月より義務化したマイクロチップ。飼い主の注意点は…
- 繁殖業者やペットショップが扱う犬猫に対して義務化。すでに飼っている犬猫については努力義務。
- 義務化されたマイクロチップ制度は国による新しい法定登録制度。民間登録制度のAIPOではない。
- 詳しくは環境省 犬と猫のマイクロチップ情報登録について をご参照ください。
5.逸走(脱走)の防止
人へ危害や迷惑を及ぼさないように、動物が脱走しないような措置を講ずること。動物の健康と安全の確保にもなる。
6.終生飼養
命ある動物を最後まで愛情をもって飼い続けること。やむを得ない事情がある場合は新しい飼い主を探す努力をすること。
7.みだりな繁殖を防止する不妊去勢措置等の実施
適正飼養が困難になるほどのみだりな繁殖を防ぐために、不妊去勢手術等の繁殖制限を行うよう努めること。
より詳細な環境省告示もCHECK!
以上「飼い主の責任」は、環境省 家庭動物等の飼養及び保管に関する基準 にて、より詳細に告示されています。
一部を抜粋してみました。
・犬の所有者等は、犬をけい留する場合には、けい留されている犬の行動範囲が道路又は通路に接しないように留意するとともに、犬の健康の保持に必要な運動量を確保するよう努めること。
・猫の所有者等は、疾病の感染防止、不慮の事故防止等猫の健康及び安全の保持並びに周辺環境の保全の観点から、当該猫の屋内飼養に努めること。
「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」環境省
このように、犬のけい留場所や猫の屋内飼養の推奨といった細かな点まで明文化されています。
うっかりやってしまっていることがないか、また、他の飼い主がやっていて迷惑に思っていたり疑問に思っていることはないか、確認しておくといいでしょう。悪質なペット業者や飼い主を注意する場合の根拠にもなるはずです。
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