マンション5階から猫が脱走【4】3週間後に発見、約1か月後に無事保護するまで

預かりボランティアをしている当サイトスタッフが直面した"猫の脱走"。4回目は保護するまでの経緯をまとめてみました。
※1~4回は最後にご案内しています。

餌場を作り、トレイルカメラを設置
猫が脱走して3日くらいは、脱走地点の半径50mを捜しながら聞き込みをしていました。が、まったく手がかりはなし…。ケガの心配があったものの、「隣の家(3階建て)の屋根に飛び移れば大丈夫なのでは…?」と、捜索隊メンバーで意見が一致。「ぜったい50m圏内にいるはず」を合言葉に捜索しました。
50m圏の聞き込み4日目。「夜中にチラシの猫に似た猫を見た」という目撃情報をゲットしました。保護主と私は、夜、目撃ポイントなど数か所に餌を入れた捕獲機を設置。近くで息をひそめました。が、別の猫すら捕獲機にかかりません。
「ここにはいないのではないか」という疑問を保護主にいうと、目撃地点ほか数か所に餌場を作り、トレイルカメラを設置することに。トレイルカメラとは野生動物などの動きをセンサーで感知して自動で撮影するもの。保護猫活動のお仲間から2台ほど調達し、1台は私がAmazonで購入しました。
それから約2週間、夜に餌場とカメラを設置して早朝に回収する日々が続きました。餌場に設置したカメラに映っていたのは、違う猫、ネズミ、ハクビシン。逃げた猫の姿はまったく映りませんでした。
▼トレイルカメラに映った別の猫。用心深く捕獲機の中まで入らなかった。
犬の散歩から有力な目撃情報が!
「もう見つからないんじゃないだろうか…」。先行きの見えない不安と疲れが私にのしかかっていた頃、早朝に1本のメールが届きました。メールの主は同じマンションの人。愛犬との早朝の散歩でチラシの猫を見かけた、というのです!その場所は近くの学校の門の前。私たちが探していた範囲の外でした。

急いで2人で学校に出向きました。守衛さんにチラシを渡し「見かけたら連絡ください!」と依頼。…するとその日の夕方、守衛さんから「いま、猫いるよ」と電話が。急行した私たちは校内の歩道30m先に逃げた猫を発見!模様や大きさから間違いない!!足を引きずっている様子もない!!!
草むらに入っていく猫を見届け、この日は深追いしないことに。保護主と、猫が無事でいてくれた喜びを分かち合い、「メスだから50m圏内にいるはず…という固定概念は改めなければいけないね」と話しました。
猫の行動パターンをつかみ、捕獲へ
翌日からこのエリアを歩いて聞き込みをしました。すると他の犬の散歩の方からも目撃情報が得られたり、捜索メンバーの1人が校庭にいる猫を目撃したり。それらを元に仕掛けたカメラにも猫が映っていました。このように猫の活動エリアと行動パターンをつかんだ私たちは、いよいよ捕獲へと駒を進めます。
決行日を決めると前々日から餌場のフード補給を中止。そして当日。猫が来る餌場に捕獲機を仕掛け、近くで待機しました。すると校庭のほうから猫が歩いてきて……が、また校庭に戻ってしまいました。
校庭の中をゲートのほうへ向かってゆっくり歩いていく猫。保護主は捕獲機を持ってフェンス外の道を追いかけ、猫から5mほど離れたゲートの外にそっと捕獲機を置きました。そして、猫のほうを見ないように静かに待つこと5~10分…。「ガチャン!」と捕獲機が閉まりました。保護主に「入った?」と聞くと「入ったよ」と。このときの気持ちは「よかった」「やっと終わった」というシンプルなものでしたが、これまでの捜索活動が報われたこと、預かりボランティアとしての責任を果たせた喜びも集約されていたと思います。

こうして猫は脱走から約1か月後に無事に保護できたのです。
いまだ家猫修行中
すぐに捜索隊ライングループに「猫、捕獲!」の一報と写真を送りました。その後、猫は保護主の家に。脱走経路が分かってしまった私の部屋ではまたやりかねないからです。
最後の仕事は、ご協力いただいた方々への報告とお礼へ。同じマンションの目撃情報を教えてくれた犬の飼い主さん(救世主!)、学校の守衛さん、マンション周辺の戸建てや会社、チラシを貼ってくれた動物病院のスタッフさんのもとへ行くと、みなさんが「よかったですね!」と自分のことのように喜んでくれました。捕獲機を返しにいった保健所の職員さんも喜んでくれました。
そして、マンションの掲示板のチラシには「無事見つかりました!」と追記。するとこのように↓みなさんが温かいコメントを入れてくれました。これは今でも大切にとってあります。

あれから3年。当の猫は保護主宅でいまだ家猫修行中で、里親会デビューもできていません。人慣れは少しずつ少しずつ…。こういった手強い保護猫もまれにいます。みなさんも保護猫を迎えたら、脱走対策にお気をつけください!
【後日談】一番はじめの目撃情報の近くで、同じ柄でふた回りくらい大きい猫を目撃(苦笑)。目撃情報はよく確認することが大切です。
[これまでの回]
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