犬の嫌いな音、掃除機の音に慣れさせるトレーニング
犬はなぜ掃除機の音が嫌いなの?
大抵の犬が掃除機の音を嫌います。なぜなら、掃除機の大きな音は、人より4~10倍の聴力を持つ犬にとっては、"うるさくて嫌な騒音"だから。
しかし、単に嫌がるだけではなく、怖がってしまう犬も多くいます。こういう場合は、掃除機の音自体を単純に怖がっている場合と、掃除機に体を吸われるなどの体験から掃除機そのものを怖がるようになってしまった場合の2つがあるようです。
今回は、掃除機の音そのものを怖がる場合の対応方法をお話しします。
ステップ1:まずは小さな刺激(音)から
まず最初は、一瞬だけ掃除機の音を聞かせるようにします。これで落ち着いていられるようであれば、繰り返し聞かせるようにしていきます。
最初に一瞬だけ音を聴かせる際は、犬が恐怖から起こす行動が反応する時間も無い位の瞬間で良いでしょう。その際、短い時間内に何度も繰り返すのではなく、犬が落ちついている状態を確認しながら繰り返すようにしてください(掃除機の音が大きすぎる場合は、掃除機を犬から離して小さい音から聞かせませしょう)。犬が恐怖を感じていると思ったら、無理に行なわないように。そして、音を聞かせたら言葉で褒め、オヤツなどの犬が好きなご褒美を与えるようにします。音を聞かせたらすぐに褒めてあげるのがポイントです。
これを何度も繰り返し、「掃除機の音が聞こえたら良いことが起きる」と犬に理解させることが狙いです(拮抗条件付け)。
ステップ2:ご褒美でトレーニングを楽しいゲームに
次のステップは、音を聞かせる時間を少しずつ長くしていきます。
最初は一瞬、次は数秒、次は5~6秒というように、徐々に時間を延ばしましょう。必ず、犬の落ちつき具合を観察しながら行います。また、ご褒美のオヤツを何種類か用意しておき、ランダムに与えると犬が飽きません。「次のご褒美は何?」と犬が期待するようになると、いつの間にかトレーニングがご褒美をもらえる楽しいゲームになるでしょう。
もし犬が、長時間、音を聞くことに恐怖を感じているようであれば、このゲームは一旦中止です(音の大きさに反応するようであれば、小さな音から徐々に大きな音にしていくなどの方法もあります)。
犬が落ち着いたら、許容できる時間内で音を聞かせて再スタートします。ポイントは犬が怖がっている時には無理に行なわないこと。また、慣れてきたとしても、犬が飽きるまでやり続けるのではなく、「もう少しゲームをしたい」と思うところで止めることが大切です。これにより、ゲームへの期待を保ち、ゲーム好きな犬にしてくれます。
ステップ3:オヤツにひと工夫
次のステップは、掃除機の音を聞かせる時間をより長くします。一瞬で食べてしまうオヤツではなく、食べるのに時間がかかるオヤツを与えるようにすると良いでしょう。オヤツを食べている間に、掃除機の音がしても気にしなくなる状態にします。
オヤツは柔らかいものではなく硬いもの。トリのササミジャーキーであれば、ソフトタイプではなくハードタイプに。またオヤツを入れる知育玩具タイプのものも、すぐに取り出して食べることができないので有効な方法といえます。ここまでくると、もう掃除機の音を怖がらないようになっているはずです。
ステップ4:褒められることがご褒美に
その次のステップは、オヤツがなくても掃除機の音に平気でいられるようにすること。褒めてからオヤツをあげるのではなく、与える時と与えない時とをランダムに混ぜます。犬の反応を見ながら、少しずつオヤツを与える回数を減らし、最後は言葉で褒めることがご褒美になるようにしましょう。
これは他でも重要なポイントになります。言葉で褒めてからご褒美(オヤツ)を与えるという条件を繰り返すことで、言葉で褒められるだけで犬は喜ぶようになるからです。
神経系の反射/反応の伝達も、“言葉で褒められる⇒ご褒美をもらえる⇒嬉しい”から“言葉で褒められる⇒嬉しい”に単純化されていくことが分かっています。オヤツなどのご褒美を与えるときは、必ず「言葉で褒めてから」オヤツを与えて下さい。そうすれば常にオヤツがなくてもよくなり、褒め言葉が完全なご褒美になります。
オヤツがなくても喜んで飼い主の指示に従える犬は、他のトレーニングもうまくいくはずです。
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