【犬のきもち】犬のあいさつとマーキングとは?

犬 あいさつ マーキング

犬は優れた嗅覚で情報収集をする

犬はニオイでコミュニケーションする動物です。その嗅覚はヒトの100万倍近くあるといわれ、訓練を積めば、麻薬探知犬・捜索犬・警察犬として人間社会で広く活躍することができます。
犬の嗅覚は元々、固体を識別したり、縄張り(テリトリー)を識別するために発達したと考えられています。犬はニオイから、相手がオスなのかメスなのか、メスであれば発情期なのかどうか、どこの群れに属しているのか、どのくらいの年齢か、相手が自分より優位な存在なのかなど、多くの情報を収集するのです。

犬のニオイはどこから出ているの?

では、犬がお互いの情報源としているニオイは、どこから発せられているのでしょうか?犬のニオイの発生源は、耳・口・肛門周辺・鼠径部・体表・足裏(肉球部分)などがあります。犬は人間のように体温調節をするための汗腺があまり発達していないため皮脂腺などから強いニオイが出ます。シャンプー後や湯拭きをした後でも、すぐに体臭がしてくるのはこのため。しかし犬種によっては、プードルやパピオンのようにあまり体臭がしない犬もいます。また、体そのもののニオイだけでなく、排泄物である尿や糞のニオイも重要な情報の源です。

犬同士がオシリのニオイを嗅ぐわけ

犬は他の犬に会うと、耳・口・肛門周辺・鼠径部のニオイを嗅いで、相手の情報を得ようとします。オス同士の場合、上位・優位な立場のイヌが、下位・劣位の犬にニオイを嗅がせるのが普通です。「嗅ぐ・嗅がせる」が入れ替わることもありますが、劣位の犬はあまり自分のニオイを嗅がせることを好まないようです(最近の説では、犬の社会は単純な順位制ではなく複雑で、必ずしも優劣があるとは限らないそうです)。
犬の肛門周辺には肛門嚢腺という腺があり、排泄の際にはそこから特別な分泌物が排出されて糞に混ざるようになっています。この分泌物には多くの情報が詰まっており、犬の固体情報の宝庫と考えられています。初めて会った犬同士が、肛門周辺のニオイを嗅いでいるのはそのため。これが「犬のあいさつ」です。あいさつは犬同士の関係をスムーズにすると考えられています。
ただし、犬にも相性の善し悪しがあります。また、犬の性格や社会性の度合いにより、他の犬に対して過度にシャイであったり、怖がったり、攻撃的になることがあります。
ですから、初めて会った犬すべてとあいさつすることが必ずしも良いとは言えません。飼い主さんはトラブルが発生しないよう十分な注意を払ってください。

犬の縄張りをニオイで示すマーキングとは?

犬は縄張り(テリトリー)の識別もニオイで行います。縄張りを示すためのニオイ付け行動のことをマーキング」といいますが、このマーキングの多くは、大抵オスにより縄張りの境界線で行われます。自分の縄張りや境界線に他の犬がマーキングをすると、自分の縄張りを主張するためにさらにマーキングを行います。犬のお散歩コースで見かける「ほとんどの犬がマーキングするポイント」は、この理由によるものです。

犬のマーキングを止めさせる方法

マーキングは犬の大切な習性の一つですが、住宅地など公共性の高い場所では、衛生面やニオイから近隣の住民の迷惑になります。
飼い犬のマーキングを止めさせる方法は、去勢手術(メスは避妊手術)がお勧めです。マーキングは、オスの性ホルモンによるものなので、その分泌を抑制する効果があります。また、オス犬が片足を上げてマーキングをする理由は、より高い位置(他の犬がニオイを嗅ぐ鼻の高さ)に尿をかけること。去勢手術は、片足を上げるマーキングの抑制効果もあるようです。

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