保護猫里親会で猫を迎えよう!保護猫ってどんな猫?どんな手順で迎えるの?
「猫と暮らしたい!」とお考えのみなさん。保護猫を迎えてみませんか?2017年2月、千葉県市川市で行われた「ふくねこやneko部」保護猫里親会に「ペットホームウェブ」スタッフがおじゃましてきました。当日のようすととともに、ボランティアで保護猫をお世話している保護主さんの声なども交えてレポートします。
「保護猫里親会」に参加している猫はどういう猫?
スタッフがおじゃましたのは千葉県市川市「かふぇきゃっとている」の隣りで毎月第2日曜日に行われている「ふくねこやneko部」の保護猫譲渡会。この日は9名の保護主さんと40匹前後の猫たちが参加しました。
保護猫里親会に参加している猫は、保護主さんのご自宅周辺や公園などで保護した猫、猫を飼育できなくなった高齢者からの依頼で引き取った猫、動物愛護センターから引き受けた猫、多頭飼育の崩壊から救出した猫などさまざまな背景を抱えています。子猫から成猫まで、ケガをしていた猫もいれば病気持ちの猫も…。猫たちは各保護主さんのご自宅で手厚く保護されています。保護主さんは猫にごはんやトイレなどのお世話はもちろん、いっしょに遊んだり、爪切りやシャンプーなどのケアから抱っこに慣れるようにしたりなど、自分の猫と同じように愛情を注いでいます。
保護中は猫を動物病院にも連れて行きます。ノミ・ダニ、腹部寄生虫駆除をはじめ、ワクチンの接種や避妊去勢手術、猫白血病や猫エイズの有無をチェック。手術が必要な大きなケガや重篤な病気を抱えた猫への医療行為も行います。なんと、これらはすべて保護主さんのボランティア。頭が下がりますね。
こうして、保護したとき蚤だらけだったりやせ細っていた猫も保護主さんの手厚いお世話で元気になり、人間や他の猫を威嚇していたような猫も穏やかになってきます。保護猫里親会に参加している猫はこのような猫たちなのです。
どんな手順で保護猫を迎えるの?
さて、保護猫里親会がオープンすると、会場には続々と人がやってきました。「〇〇ちゃんに会えますか?」と、お目当ての猫と保護主さんを訪ねてくる方が何人かいらっしゃいます。というのも、保護主さんは普段ご自身のブログなどで保護猫を紹介し、里親を希望する方とメールなどでやりとりして保護猫里親会でご対面させているのだとか(保護主さん同士ではこれを「お見合い」と呼んでいました)。もちろん、いろいろな保護猫に会ってみたいと、直接会場に来る方もいらっしゃいます。
猫とのご対面を果たした里親希望の方は、保護主さんに猫の性格や健康状態、病気の有無、好みのフードや好きな遊びなどの飼育に必要な情報を聞いて、猫を迎えるかどうかの意思を保護主さんに伝えます。里親さんが「猫を迎えたい」となったら、アンケート用紙に里親さん宅の飼育環境(他のご家族の了承、先住猫や犬はいるか、家に誰もいない時間はどのくらいになるか)などを書いてもらいます。
保護主さんはこれらのやりとりから「そのコの性格や行動が、そのお家で生活するのに適しているかどうか」を判断しています。そして、里親希望の方が「この猫なら大丈夫」、保護主さんが「この人なら大丈夫」となると、晴れて里親決定となります。
保護主さんに聞いたところ、「里親さんとの面識がないまま猫を預けることは絶対にしない」とのこと。大切に保護した猫を虐待や飼育放棄から守るためには「人を見る目」も必要なのですね。
トライアルお届け時に飼育環境を確認
こうして里親決定となった保護猫は、保護主さんが後日、里親さん宅へお届けします(「ふくねこやneko部」の保護猫里親会では当日の譲渡は行っていません)。このとき保護主さんは、里親さん宅の飼育環境を確認しているそうです。
とくに賃貸住宅では、「ペット可」でも猫の飼育に限ってNGのところがあるので、「猫はダメだったから返す」とならないよう念には念を入れます。以前、こういったトラブルが続いた保護主さんのなかには、「賃貸住まいの方はNGにしている」という方もいらっしゃいました。
ペット可賃貸にお住まいの方でも、入居時とペットの条件が変わってしまっている場合があります。猫を迎えるときは管理会社や大家さんへの確認をお忘れなく。
トライアル期間を経て「うちのコ」に
お届けから1~3週間は「トライアル期間」。保護猫が里親さん宅でやっていけるかどうか様子をみます。保護主さんは頃合いを見計らって電話をし、猫のようすと里親さんの意思を確認します。時折、他の犬や猫との相性が悪い、どうしても飼育環境に慣れてくれないなどの理由で戻ってきてしまう猫がいるそうですが、多くの里親さんはやさしく気長に保護猫を迎えてくれているそうです。
保護猫から広がる猫好きの輪
このように保護主さんたちは、すべてボランティアで猫の保護と里親さん探しをしています。その原動力は「猫が好きだから」。そして「かわいそうな猫を1匹でも減らしたい」「猫の殺処分を減らしたい」という純粋な思いです。里親の方々も同様。つまり、保護猫里親会には「猫が好き。だから猫を幸せにしたい」という人が集まってきます。
会場には終始、猫話に花を咲かせるみなさんの和気あいあいとした雰囲気が…。おのずと保護主さん同士と保護主さん同士の助け合いはもちろん、里親さんからのフードなどの援助、里親会やイベントでのお手伝いが始まり、猫好きによる猫ボランティアの輪が広がっているそうです。保護主さん同士、保護主さんと里親さんが友人になってしまうケースも多々あるのだとか。猫がつなぐ人と人との縁はさらに大きな力となりそうですね。
ちなみに、この日の「ふくねこやneko部」の保護猫里親会で里親が決まった猫は10匹でした!よかったですね~。
猫の殺処分数は犬の約4倍
最後に猫をめぐる問題についてもう一度おさらいしておきます。
環境省の統計資料によると、平成27年度に日本で殺処分された猫の数は67,091頭。ちなみに犬は15,811頭、猫の殺処分数は犬のおよそ4倍になります。猫には「狂犬病」の危険性がないため行政に管理(捕獲)されておらず、野良猫・外猫の自由繁殖で増えてしまうことが原因です。そして、殺処分される猫は飼い主のいない幼齢の猫が64%を占めています。
罪のないペットの殺処分は身勝手な飼い主の存在と野良猫・野良犬の繁殖が問題。どちらも人間が解決できます。また、こういった犬や猫の問題はボランティアの方々の善意に頼りすぎている現状があります。「ふくねこやneko部」の保護猫里親会を通じて、私もできることから始めなければと思いました。
みなさんも「猫を迎えたい」「保護猫活動をしたい」と思ったら、ぜひ一度お近くの保護猫里親会に足を運んでみてくださいね。
ふくねこやneko部保護猫里親会ギャラリー
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