音を使った犬のしつけ、クリッカートレーニング
犬が聞き取りやすいのは高い声?低い声?
犬の聴覚はとても鋭く、人間の4倍から10倍もの感度を持っているといわれています。しかも、犬の耳は人間の耳よりも高い音を聴くことができます。その代表例が犬笛です。私たち人間には犬笛の音はスースーと聞こえるだけですが、犬は犬笛の高い音域の高周波を音として捉え、きちんと聞き分けることができるのです。
私たち人間の間では「男性の低い声よりも女性の高い声のほうが聞き取りやすい」といわれます。じつは犬も同じ。そのため男性飼い主さんが犬に言葉で指示を出す場合、高めの声で明確に発音をしたほうがいいといわれています。また、発音が似てまぎらわしい単語はNG。犬が識別しにくいため、指示語として使わないほうがよいでしょう。
犬は低い声は威嚇に使い、高い声は甘えるときに使う
犬は威嚇するときなどに低い声を使い、甘えるときになどに高い声を使います。一般的に、動物の声は体が大きければ大きいほど低くなるため、敵に威嚇する場合は伸び上がって体を大きく見せます。低い声を発して、相手に「自分は体が大きくて強い」と思わせようとするのです。反対に甘えるときは、体の小さい幼犬が母犬にするのと同じように高い声でクンクンと鳴きます。
人間もまた、声の調子を感情によって変えています。同じ言葉でも感情によって自然と高く発音したり、低く発音して相手に伝わる意味を変えています。例えば親が子供の名前を呼ぶとき、褒めようしているときと叱ろうとしているときでは声の抑揚が違います。大きな声、強い口調で呼ぶときは「叱るため」、穏やかで優しい口調で呼ぶときは「褒めるため」というように。そして子供は、これからどのようなことが起きるのかを敏感に察します。
犬にはどうでしょうか?多くの飼い主さんは「怒るときは厳しく強く」「褒めるときは穏やかに優しく」犬の名前を呼んでいるはず。そして犬も人間の子供と同様に飼い主の声の調子を聞き分けているのです。
犬のしつけ用グッズ「クリッカー」
犬のしつけやトレーニングでは、飼い主の声の調子を犬が敏感に聞き取りすぎてうまくいかないことがあります。そんなとき、声を使わず犬に指示を出せるのが「クリッカー」です。クリッカーはボタンを押すと「カチッカチッ」と音が出る犬用トレーニンググッズです。
クリッカーは犬を褒めるときに鳴らします。一定の音が鳴るため、言葉の発音や声の高低差は関係ありません。褒められるときの合図として犬が認識しやすくなります。クリッカーは、犬に対して正確な意図を伝えることができる方法といえるでしょう。
犬のしつけやトレーニングが「どうもうまくいかない…」という飼い主さんは、ぜひ一度試してみては?
SHARE