犬が1日に摂取するカロリー(エネルギー)と、カロリー計算方法は?
ステイホーム中、久々に愛犬を自宅でシャンプーした飼い主さん。濡れた愛犬を見て「えっ!痩せすぎ?」と思いませんでした?とくに、毛量が多い柴犬、モコモコなトイ・プーなどは実際の体型や肉付きが分かりにくいですよね。
そこで今回は、犬に必要な1日のカロリー(エネルギー)を算出してみることに。ドッグフードの見直しなどにお役立てください。
目次
犬に1日どれくらいのカロリーを与えてる?
愛犬にドッグフードを与えるとき、飼い主さんはパッケージに表示された「給与量」にあるドッグフードの量を与えます。これはライフステージや目安となる体重ごとの表示が基本になっています。その一方でカロリー表示はすべての商品にあるわけではありません。そのため、「犬に1日どのくらいのカロリーを与えているの?」と聞かれたら答えられない飼い主さんが多いのではないでしょうか?
今回は、J-STAGEに掲載されている 連載講座:基礎栄養学「犬・猫のエネルギー要求量」(ペット栄養学会誌)を参考に、犬に必要な1日当たりのカロリー(エネルギー)を算出してみます。
安静時のエネルギー要求量を算出
まずは「安静時のエネルギー要求量」を体重に応じて計算します。
これは健常動物が温熱的な中立に環境下、絶食をしていない状態での非活動時のエネルギー要求量にあたり、基礎代謝エネルギー代謝(BER)に1.食物の消化吸収、代謝、2.運動からの回復 などを加えたものです(RERはBERとほぼ同じか、25%高い値になることも)。
安静時エネルギー要求量(RER)=70×体重0.75
計算方法(電卓使用)
- 体重×体重×体重(体重を3回かける)
- =の値に√、√(ルートを2回押す)
- ×70
- =RER
犬のライフステージの係数とは?
成長、妊娠、泌乳(乳が分泌される)、運動量上昇期の犬は、維持に必要なエネルギー量に加えて、労働や生産のためのエネルギーを摂取する必要があります。そのため各ライフステージに応じた係数を設けています。
以上で算出された安静時のエネルギー要求量(RER)に、犬のライフステージに応じた以下の係数をかけます。
犬のライフステージ | 係数 |
成長期(離乳から月齢4か月まで) | 3 |
(月齢4か月~成熟体型まで) | 2 |
成犬 (避妊・去勢済み) | 1.6 |
(未避妊・去勢) | 1.8 |
労働犬(軽い労働) | 2 |
(適度な労働) | 3 |
(重労働・そり引き) | 4.8 |
妊娠時(出産までの21日) | 3 |
授乳時(仔犬の数により) | 4~8 |
1日当たりの犬の摂取カロリー(エネルギー)を計算
では、係数1.6の避妊・去勢済みの成犬に必要な1日当たりのカロリー(エネルギー)を算出してみましょう。
※小数点以下は四捨五入しました。
体重(kg) | RER(70×体重0.75) | DER(RER×1.6) |
2 | 118 | 189 |
3 | 160 | 256 |
4 | 198 | 317 |
5 | 234 | 374 |
6 | 268 | 429 |
8 | 333 | 533 |
10 | 394 | 630 |
20 | 662 | 1059 |
30 | 897 | 1435 |
40 | 1113 | 1781 |
犬に必要な1日のエネルギー量(DER)には、朝晩2回のフード、おやつを含まれます。1日2回ドッグフードを犬に与えている人は、DERからまずおやつ分のカロリーを引き、それを2で割ると、1回当たりのドッグフードのカロリーが分かります。
例えば、10キロのワンコで1日1本のササミジャーキー約60g(=60kcal)をあげている犬とあげていない犬の1回当たりのフードのカロリーは以下となりました。
- おやつをあげる場合
(DER630-ささみ60)÷2回=285kcal - おやつをあげない場合
DER630÷2回=312kcal
各メーカーで微妙に違うDER
ドッグフードの給与量は、以上のように犬のDERを算出して導き出されます。しかし、各ドッグフードメーカーが同じ計算式を用いているわけではありません。
例えば、某社10歳以上用のドライフードには、350kcal/100g、10キロの小型犬に与える分量は175gとなっています。このフードの1g当たりのカロリーは3.5kcal。175gのカロリーは3.5×175=612.5kcalとなります。
以上で算出した10キロの犬の1日のエネルギー要求量(DER)630kcalなので17.5kcal違います。当記事で出したDERは資料元の日本ヒルズ・コルゲート社式で、某社10歳以上のドッグフードは別の会社。したがって、ドッグフードの給与量にこのような差が生じるようです。
ドッグフードを変えるときはカロリー計算を
飼い主側としては、各社で同じDER算出式を採用してもらい、カロリー表示を徹底してもらいたいところですが…。
みなさんも愛犬のドッグフードを変えるとき、ライフステージが変わったとき、太ってきたとき、痩せてきたときは、改めて「犬に必要な1日当たりのカロリー(DER)」を参考にドッグフードやおやつを調整してください。
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