薬のタイプ別、犬への薬の飲ませ方
人と同じように犬も病気になります。
病気を治すためには薬を飲みますが、犬は自ら薬を飲んではくれません。薬の役目を知らないからです。
もし犬が病気になってしまったら、飼い主がしっかりと薬を飲ませてあげましょう。
犬に処方される薬のタイプ
今回は、犬に処方される薬の種類に合わせた、正しい薬のあげ方・飲ませ方をご紹介します。
動物病院で処方される薬を形状で分けると、次の5種類があります。
犬種や年齢、体調や症状に応じて、薬の種類や適切な量は違います。まずは獣医師の診察を受け、薬のあげ方についてよく相談するようにしましょう。
薬の飲ませ方:チュアブルタイプ
最近のフィラリア予防薬などでおなじみのチュアブルタイプの薬。「チュアブル」とは、"chewable"=「かみ砕くことができる」という意味で、においや形・食感を普通のドッグフードに似せて作られた薬のことです。
飲ませ方はドッグフードと一緒にお皿に入れておくだけ。犬は薬と気づかずに食べてくれるため、とても便利です。
飼い主はかんたんに薬を飲ませることができ、犬も嫌がりません。診療を受けた動物病院にチュアブルタイプの薬があれば、ぜひ利用してみてください。オススメですよ。
薬の飲ませ方:丸薬・カプセル・錠剤
まずは犬にもっとも多く処方される丸薬・カプセル・錠剤などの飲ませ方を覚えてください。このタイプの薬は次の4つのステップで飲ませます。
- ステップ1
まず犬を座らせ、犬の犬歯の後ろに親指を差し入れて上あごをつかみます。ここでのポイントは、犬の唇を口の中に軽く巻き入れるようにすること。こうすると、犬は自分の唇をかまないように、自然と口を開けてくれます。 - ステップ2
犬が口を開け始めたら、反対の手で下あごをつかみ、しっかりと口が開いた状態にします。このとき、薬は下あごをつかむ手で持っているように。 - ステップ3
犬が口を大きくあけたら、舌のできるだけ奥の方に薬を差し入れます。薬を入れるのが手前過ぎたり口の端だったりすると、犬は薬を吐き出してしまいます。薬は必ず口の中央奥に入れるようにします。 - ステップ4
次に犬の口を閉じ、上を向かせてのどを伸ばすようにします。上を向かせながら、のどを軽くなでるようにしてあげると、スムーズに薬を飲み込めます。
気を付けてほしいこと
犬が舌を出して鼻をペロッとなめたら、それが薬を飲み込んだサイン。一見、犬が薬を飲み込んだような様子でも、実は飲み込んでおらず後から吐き出すことがあります。確実に薬を飲ませるにはこの動作をしたかどうかチェックしてください。
以上がうまくいかず時間がかかってしまうと、犬は「薬はイヤなものだ」と思い込んでしまいます。優しく声をかけてあげながら、できるだけ手早く犬に薬を飲ませるようにしましょう。
丸薬や錠剤は砕いて与えないほうがベターです。これは、砕いて細かくなった薬は犬の嫌いな匂いや苦みなどの味が増してしまうため。丸薬・錠剤は、苦みや嫌な味がしないようコーティングされています。
投薬補助食品を使う
また、おやつや投薬補助食品などに薬を包んで与える方法も有効です。最近はペット用投薬補助商品がいろいろ発売されています。
薬の飲ませ方:シロップ剤(液状の飲み薬)
シロップ剤などの液状の飲み薬は、スポイトなどを使って犬の奥歯と頬、唇の端から流し込むようにしてあげます。次の3ステップを参考にしてください。
- ステップ1
まずは唇の端を上下に広げるようにして奥歯と頬の間にすきまを作ります。 - ステップ2
次にすきまからスポイトを差し入れ、唇を広げていた指を離して唇を閉じさせます。 - ステップ3
そして、犬の顔を上に向けさせて薬をゆっくりと流し込みます。
急に大量の薬を流し込むと、飲み込む速さやタイミングによって上手に飲み込めないことがあります。犬が薬を飲み込んでいることを確認しながら、少しずつ流し込んでください。
薬の飲ませ方:粉薬
粉状の薬を飲ませるのは、他の薬をあげるのに比べて少しハードルが高く感じるかもしれません。次に紹介する方法を試すなど、薬のあげ方に工夫をしてみましょう。
- 食事に混ぜる
- マーガリンやバターに練り込む
- 水を混ぜて水溶液や粘土状にする
- オブラートに包む
- ゼリー状オブラート(飲薬用ゼリー)に混ぜる
1.の場合は普通のドッグフードでもOKですが、雑炊のようなフードのほうが薬の苦みや嫌な味がごまかせます。
2.や3.のように薬を粘土状にした場合は、犬の口の中に塗る要領であげてください。
4. 5.については、これまでに紹介した錠剤やシロップ剤の飲ませ方を参考に。
固形タイプの薬を砕いて与える、カプセルの中の薬を出して与える場合も、以上を参考にしてください。
薬を何かに混ぜてから犬にあげる場合は、必ず獣医師に薬と混ぜて良いものかどうかを確認してからあげてください。
薬の与え方:座薬
犬が口の中をケガしているなどで薬を犬の口から飲ませることができない場合は、座薬を使うことがあります。座薬はワセリンを塗って肛門から挿入します。しかし、脱水や腸閉塞の可能性がある場合などは使えません。
初めは動物病院で入れてもらうか、獣医師や動物看護師の指導のもと挑戦すると良いでしょう。
悩まず獣医師に相談しましょう
犬に薬を飲ませることは、始めは少々難しく感じるかもしれません。が、慣れてしまえばそれほど大変なことではありません。
うまくいかなくてもちょっとした工夫で上達します。犬に嫌がられたときは、悩んでしまわず獣医師に相談してみましょう。
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