犬のフィラリア症とは?感染のしくみと予防法について

フィラリア症とは犬糸状虫」といわれる糸のような寄生虫が犬の体内に寄生し、最悪の場合、死に至らしめることもある病気です。血管内や心臓に寄生し、成長して肥大化します。肺や心臓などの血液の流れが悪くなることで体重減少運動ができなくなる貧血を起こすといった症状が表れます。

蚊に吸血され犬に感染する

犬糸状虫は他の動物に寄生して一生を過ごします。しかし、犬糸状虫が成虫になるためには、一度必ずの体内に入り発育する必要があります。そして、蚊の体中では、ある程度までの成長はできても、成虫になることはできません。この為、蚊の体内に寄生し成長した幼虫は、成虫まで発育できる環境(他の動物の体)を常に求めています。犬糸状虫は一度寄生した動物の体から自力で出ることができないため、蚊の吸血行動を利用することで他の動物に感染し、成虫になるための環境を得ます。つまり、体の中に犬糸状虫の幼虫が寄生している蚊に吸血された動物は、蚊に吸血される際に感染してしまうのです。

犬の血管や心臓に寄生する犬糸状虫

ひとたび成虫になるための寄生場所を得た犬糸状虫は、感染から6~7か月で成虫まで成長し、さらに子を産み出します。成虫まで達した犬糸状虫は生涯をその体内で過ごすことになります。成虫によって産み出された幼虫は、生み落とされた動物の体内では発育できないため、先ほどとは反対に、動物が蚊に吸血されている間に蚊の体内に入り、同様のサイクルを繰り返します。このような発育サイクルを持つ犬糸状虫の発育の場となる動物がなのです。犬糸状虫の感染は、ばかりでなく、人間にも感染しますので尚更に注意が必要です。

心臓に寄生した犬糸状虫の除去手術は困難

犬糸状虫は心臓や心臓近辺の血管に最終的に落ち着くため、感染してしまうとその駆虫は非常に困難です。薬で駆虫することもできますが、その結果死骸が血管に詰まってしまい駆虫が原因で命をおとすこともあります。外科的な手段で体内から除去することもできますが、これも完全に除去できることは少なく、また心臓およびその近辺の処置になるため危険をともなうことは必須です。やはり、フィラリア症で苦しませないためには、駆虫よりも予防の徹底が何よりも大切です。

必ずフィラリア予防薬の投与を

現在は予防薬の投与方法も内服薬によるものが主体であり、その形状も様々です。ペットや飼い主さんの負担にならない方法をかかりつけの動物病院で相談してみましょう。現在一般的な方法としては初春(3~4月)から初冬(10~11月)までの毎月1回内服する薬を処方することでしょう。蚊の多く発生する春以降~夏場にかけて特に注意が必要ですが、都会よりも蚊の発生しやすい環境(草地、森林)が多い都市部以外の方がより感染の可能性が高くなります。もちろん都市部でも季節外れの蚊が生存することもありますのでお住まいの地域に応じてしっかりと予防することを忘れないようにしましょう。

SHARE