猫の預かりボランティア。次の猫を迎える前にやってみた
愛猫が亡くなって約半年の頃。次の猫はまだ考えられないけれど…。そんなとき猫の預かりボランティアをやってみました。
目次
保護猫の預かりは自分の猫がいないときがいい?
20年連れ添った愛猫を亡くした昨年2月末。強制給餌でつらい思いをさせた最期を思い出しては後悔する日々でした。
そんな中、愛猫の階段型爪とぎをとある掲示板に出品したら、ご近所で保護猫活動をされている方にお譲りすることに。
その方に、「次のコは考えていないのですか?」と聞かれた私は「まだ考えられないけれど、保護猫の預かりに興味があります」と答えました。
うちのような狭いマンションで預かりをするなら、「今がいいタイミングなのでは?」と考えていました。多くの保護猫はノミや感染症を保有しています。自分の猫がいたら隔離しなければいけませんので。
連日の猛暑で外にいる猫たちが気になっていた8月初め。その方(保護主)から「子猫の預かりできますか?」と連絡が。「やらせてください」と即答したいところでしたが、1つだけ保護主さんに確認しました。
子猫の預かりボランティアは難しい?
確認したのは子猫の月齢です。
保護猫のお世話は初めてですし、外で生まれた子猫はノミや感染症を保有していることが多々。月齢3か月くらいまでの子猫は免疫がまだ不十分といわれ、下痢や猫風邪すら命にかかわってきます。
また、長年猫の保護を他県でやっている友人から、「子猫シーズンはパルボウイルス感染症※が愛護センターなどで流行るので、来たコがパルボだったら初心者は対応できないよ」と聞いていました。
※パルボウイルス感染症。汎白血球減少症とも呼ばれ、発症すると白血球系の細胞(好中球、リンパ球、単球など)が減少。食欲低下、嘔吐、下痢などの消化器症状や発熱などが発症。生後数か月の子猫の場合は死に至る場合がほとんどと言われている。
ある程度免疫力がついてくるのが月齢4か月くらいからだそう。保護主さんは「子猫たちはおよそ4か月。初心者でも大丈夫そうなコたちですよ」とのこと。ホッ。
保護主さんから預かりさんへ
保護主さん宅に猫が届いた日、おじゃますると他の預かりさん2人も来ていました。子猫は合計8匹。3人は書類と猫の状態を見ながら、どのコを誰が預かるか決めていきます。
ちょっと元気がなかった2匹は、時間的に余裕がある先輩預かりさんが名乗りを挙げました。私にはキジトラのオス2匹が来ることに。
子猫たちはすでにノミ・ダニ駆虫薬を滴下済みでしたが、ペットシーツにはノミの死骸や黒い粒々(ノミのフン)が…。「2~3日はケージから出さないほうがいい」と保護主さん。
もう一人の預かりさんも2匹連れて帰り、保護主さん宅には2匹が残留。保護主さん宅には愛猫はもちろん、他の保護猫もいました。
「ケージ持っていないから買わないと…」と思っていたら、保護主さんが貸してくれました。そのほかケージ用猫トイレや猫砂&ペットシーツ、3週間分前後のキャットフードやちゅ~るも保護主さんから支給。
猫の預かりでは、保護主さんと預かりで猫の飼育に必要なフード代や猫砂代を共同負担することが多いそうです(すべて保護主負担、すべて預かり負担の場合も)。
猫の預かりボランティアのお役目_健康管理
預かりボランティアがやることは、適切な給餌、トイレ掃除、ブラッシングや爪切りといったごく一般的な猫のお世話です。と同時に、猫の食欲や排せつの回数・状態をチェックし、健康状態を把握すること。
預かり当初、一方のうんちがちょっとだけ軟便だったので保護主さんに報告。「コクシ※だと思う」と、保護主さんが来て駆虫薬を投与しました。すると翌日は普通便に。やはり保護した子猫にはかなりな確率で寄生虫がいるようです。軟便以外の不調はなかったので「食べすぎ」と見誤るところでした。
※コクシジウム…原虫と呼ばれる寄生虫。おもに子猫がかかりやすい。症状は下痢で、腸の状態によっては嘔吐や食欲不振が引き起こされることも。人への感染はない。
また、今回の預かりは子猫だったので、1週間ごとに体重測定して報告しました(連絡はLINEを使用)。
猫の預かりボランティアのお役目_人に慣らす
猫と遊んであげたり撫でるなど猫に構ってあげるのも預かりの役目です。子猫2匹は放っておいても勝手に遊びますが、1日3~4回はおもちゃで遊びました。運動とストレス発散のほか、遊びを通じて「人を好きになってもらう」ためでもあります。
保護猫のなかには人からひどい目に遭った猫も…。今回の2匹はその前に保護できた猫でしたが、シャーシャーしたり人から逃げる猫を預かる場合もあります。猫を「人に慣らすこと」は預かりの大切な役目といえるでしょう。
また「猫の写真・動画の撮影」も行います。これはペットのおうちなどの里親募集サイトに掲載するためのもの。LINEで保護主さん送り、投稿は保護主さんが行いました。
猫の里親会で2匹に里親希望者が
2匹が来て2週間が経った頃、保護主さん主催の「猫の里親会」が決まりました。里親会は、ペットのおうちを見た人が気に入った猫と会える場となります(要予約)。
私も保護主さんが作ったポスターを使い、自分のSNSでPR。残念ながら2匹には「お見合い予約はなし」のまま当日を迎えました。
里親会に参加した猫は8匹。オープン後、予約された3組がやってきました。みなさん目的の猫とのお見合いが終わると、参加猫すべてをくまなくチェック。私も2匹のケージ側に付き、みなさんの質問に答えたり、性格や好きなことを説明したり…。
なんとその中の1組から「2匹を迎えたい」と申し出が!他のコに会いに来たけれど、2匹の元気さと人懐こさに惹かれたのだとか。
去勢手術をしてからトライアルへ
ここからは保護主さんのお仕事。里親希望者にアンケートを書いてもらい、以下などを確認します。
- 家族は全員猫を迎えることに賛成しているか
- 猫アレルギーの人はいないか
- 他にペットいるか、それはどんなペットか
- お部屋はペット可か、間取りと平米数は
- 家に誰もいないのは1日何時間くらいか
保護主さんが里親希望者に念を入れて確認していたのが脱走対策について。玄関に内扉がないお宅には、トライアルまでに「脱走防止柵」を設置してもらうようお願いします。開閉が多い窓やベランダ吐き出し戸、網戸への対策も同様に。
里親会が終わると、保護主さんの手配で2匹の去勢手術+マイクロチップ注入が約10日後に決定。その間、里親候補の方は保護主と連絡を取り合い、脱走対策やケージ、トイレ用品の準備を進めていきます。私たちの場合は保護主・里親希望者・グループLINEを作りました。
里親希望者は、猫を飼うためにペット可へお引越しされた用意周到な方でした。あっという間に準備が整い、去勢手術の1週間後がトライアル開始日に。
2匹のお届け&トライアル開始
トライアル開始当日。2匹をキャリーに入れ、保護主さんと電車で里親希望の方のご自宅へ。
この方は20代女性の一人暮らし。元気いっぱいの2匹と暮らすとしたら、お部屋はある程度の広さが必要です。保護主さんの事前確認で問題なかったものの、実際はどうなのか気になっていました。
玄関からケージが設置されたお部屋に案内されると、その心配は杞憂に終わりました。ご自宅はお一人+2匹で住むのに十分の広さと間取り。ケージは3段、脱走対策もバッチリ!保護主さんはベランダなどもチェックし里親さんにアドバイスしました。
いよいよ2匹をキャリーから出すと、キョロキョロしながら歩きまわりトイレを見つけて早速うんち(笑)!子猫の適応能力の高さにみんなでホッ(猫は新しい環境に来るとトイレをガマンして具合が悪くなることが多い)。
保護主さんは彼女に2匹のマイクロチップ情報、エイズ検査・猫白血病検査の書類をお渡し。この日呼ばれていた彼女の同僚から保証人のサインを受理しました。
保護主さんと私はなんの不安材料もなく彼女のご自宅を後に…。
里親希望者から里親さんへ
トライアルは約1週間。里親希望者はその後の猫のようすを保護主(&預かり)にグループLINEで報告するのがお約束です。グループLINEには、日に日に馴染んでいる2匹のやんちゃな写真が。
あっという間に1週間が過ぎて…。
保護主さんが「このまま15年から20年この子たちを正式にお願いしてもよいでしょうか?」と聞くと、「勉強しながらではありますが愛情持って育てたいと思います」とのこと。里親希望者が里親さんになり、正式譲渡が決定しました!
2匹がうちに来てからおよそ1か月。初めての預かりはすばらしい里親さんとのご縁で閉幕。初めてにもかかわらず、順調に大きな負担もなく預かりができたのは、保護主さんのサポートのおかげです。保護した猫のケアから里親さんに譲渡するまでのことが、とても勉強になりました。
そして、2匹がいる間はつらかった愛猫の最期を思い出すことがなかったかも…。預かりは愛猫を失って次のコに踏み切れない人におすすめかもしれません。
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