大型犬に多い股関節形成不全。こんな犬種は子犬のときからご注意を
日本ケネル・クラブによると、現在、世界にはおよそ700~800の犬種がいるといわれています(非公認犬種を含む)。犬種は人が意図的に作り出してきたもの。その結果、純血種の犬にはさまざまな遺伝性疾患が表れています。今回はこの遺伝性疾患の一つ、股関節形成不全についてペットホームウェブ犬図鑑と幻冬舎最新版犬の家庭の医学を参考にお伝えします。
こんな犬種は股関節形成不全に注意!
まず、どんな犬種が遺伝的に股関節形成不全になりやすいのか見てみましょう。 ペットホームウェブ犬図鑑では以下36種を股関節形成不全に注意すべき犬種としています。
以上のなかでも、ラブラドール・レトリーバーやゴールデン・レトリーバー、バーニーズ・マウンテン・ドッグ、ジャーマン・シェパード・ドッグ、グレート・ピレニーズが好発種といわれています。NPO法人日本動物遺伝病ネットワーク(JAHD)によると、日本の家庭で飼育されているラブラドール・レトリーバーの股関節形成不全は、46.7%にも上ったという結果(2000~2001年調査)があり、とくに注意が必要です。
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犬の股関節形成不全ってどんなもの?原因は?
次に、犬の股関節形成不全とは股関節がどのような状態になってしまった疾患なのでしょうか? 股関節とは骨盤側の寛骨臼と大腿骨のジョイント部分になります。この寛骨臼と大腿骨がしっかりかみ合う形に成長できていないと股関節にゆるみが生じ、骨と軟骨がぶつかって炎症を起こしたり脱臼します。この炎症と痛みから犬には以下の症状が出てきます。
- 脚を痛がる、引きずる
- 元気がなく運動を嫌がる
- うさぎのように後ろ脚で同時に地面を蹴って走る
- 階段の昇り降りを嫌がる
- 起き上がりにくい
- 横座りをする
- 腰を振って歩く(モンローウォーク)
以上は生後4~12か月くらいから表れます。飼い主には動き回る子犬の動きを判断しにくいため、2~3歳まで股関節形成不全を見過ごしがちといわれます。大型犬は生後6か月頃になったら、専門獣医師の診断を受けるようにしましょう。 寛骨臼と大腿骨がきちんと成長できない要因は遺伝的なもの。が、幼犬期の過剰な栄養摂取が影響を及ぼすともいわれ、好発種の子犬は痩せ気味に育てるのがよいとされています。
股関節形成不全を悪化させないために
予防としては上記でも述べた2つが重要です。必ず獣医師と相談しながら進めましょう。
- 子犬期に過剰な栄養を与えない。
- 成長期(生後6か月前後)になったら、専門の獣医師に診断してもらう。
股関節形成不全を悪化させてしまうのは体重増加と激しい運動といわれています。飼い主さんは、犬の運動や食餌をしっかりと管理しなければなりません。しかし、若いときは発症しなかった犬がシニアになって発症する例があり、これは運動不足による筋肉量不足が原因となるようです。運動させないことがよいわけではないので、激しくない適度な運動を心がけましょう。
股関節形成不全の治療と気を付けること
犬の股関節形成不全は、程度によって以下の治療を行います。 軽度:安静にして運動や体重が増えすぎないように食餌の管理をする。 中度:鎮痛剤抗炎症剤を投与する。 重度:異常のある股関節を人口関節にかえる外科手術などを行う。1歳未満の犬の場合、関節の悪化を予防する手術もある。 また、炎症を抑えたり、軟骨の形成を促進するサプリメントなどあります。
滑りやすいフローリングは犬の股関節に大きな負担となります。犬の通り道や遊ぶ場所、階段にタイルカーペットやマットを敷き、歩きやすくしてあげましょう。
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