犬の検便、猫の検便で分かる病気とは?

動物病院で行われる犬や猫の便検査。便検査というと寄生虫について調べる検査というイメージですが、便の状態から小腸大腸膵臓(すいぞう)などに異常がないかも確認できます。便の中にはさまざまな情報がたくさん詰まっています。愛犬、愛猫のお腹の調子が悪いときは、検便で原因を確かめましょう。

食べ物の残りかす以外にも様々なものが含まれいてる

便は消化や吸収されなかった食べ物の残骸です。一概に便の量が多いから健康、少ないから不健康といったことはありません。排出される量は食べているものによって違ってきます。顕微鏡で検査してみると、消化吸収できなかった食べ物の残りかすのほか、消化液や胃腸の細胞、腸内細菌などがあります。

便の形状・色・ニオイから分かること

動物病院では、まず見た目のチェックから行います。便の形状からは、腸の消化や吸収、運動状態が分かります。量も重要ですが、固さや形も大切。固形便、形はあってもゆるい軟便、下痢状の水様便など、便の状態がどれに該当するか確認します。

そして、もうひとつ大切なチェック項目が便の色とニオイです。良好な健康状態の便色はだいたい黄褐色ですが(食べている食事内容によって多少異なります)、下痢をするとこれが黄緑色に変色します。他にも白っぽい、異様に黒い、水分がほとんどないなどの状態は、体内に何らかの異常があるというサインです。また、便に血が混じっていると小腸や大腸の異常が想定されます。
便のニオイにも情報があります。腐ったニオイや酸っぱい感じのニオイなどです。脾臓や小腸・大腸に問題があるとこういったニオイがします。

犬 検便
photo by ふくわらい(写真AC)

犬の便、猫の便の検査方法

動物病院で主に実施される検便には直接法集虫法の2通りがあります。
直接法は生理食塩水で便を希釈して顕微鏡で見る方法です。腸内細菌のバランス・活性や寄生虫の卵、小腸・大腸の細胞などが発見できます。
集虫法は、便を溶かした飽和食塩水の上澄液を顕微鏡で観察する方法です。直接法ではさまざまな事柄が発見できる一方、一部の少量の虫卵などの発見はしにくい面があります。

逆に、集虫法では、少量の虫卵でも発見できる一方、細菌や細胞を見ることができないため、さまざまな症状を発見するのには適していません。
注意点は、ペットの体に寄生虫が存在しても1度の検便では発見できないこともあること。たとえ検査で虫が出なかったとしても、定期的な検便で駆虫を行うことが大切です。
自宅から犬の便や猫の便を動物病院へ持参する場合は、できるだけ新しいものを乾燥させずに持って行きましょう。

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