ペット用消臭剤開発のハーパー・ベンソン(株)「大切なのは"においを消し続ける"という発想でした」

可愛いペットと暮らすのは楽しいことですが、ペットを飼っていると悩み事が出てくることもあります。犬の吠え声や猫の爪研ぎなど、ペットのお悩みは様々ですが、中でも多くの方が困っているのが犬や猫のにおいです。
家に帰って来た時、「うっ、くさい…!」と驚いた経験はありませんか?
もともと、犬や猫といった動物は人間よりも体臭が強く、自分の縄張りを示すマーキングを行う性質があることから、ウンチやオシッコのにおいも強烈です。こういった犬や猫のにおいが部屋に染み付いてしまうと、ちょっとやそっとでは消えません。
今回は、そんなにおいの問題を解決する方法について、消臭剤・抗菌剤などの製品開発・販売を行っているハーパー・ベンソン株式会社様の永田雄一氏、米島勝彦氏にお話を伺いました。

そもそも「におい」とは何なのでしょうか?

永田:私たちが普段から自然と感じている「におい」は、厳密に言えば「香り」と「におい」で大きく分けることができます。「香り」は多くの場合、花の香りのようないわゆる芳香で、リラクゼーションやリフレッシュ効果のある良いものをさします。それに対して、「におい」には生物に由来するものが多くあり、生物の代謝物や、その代謝物を微生物等が分解した際に出るものなどをさすようです。

例えば、生ゴミのにおいなどは、微生物が生ゴミを分解した結果出る悪臭の代表例です。
皆さんがお困りになっている悪臭は一つの物質からだけではなく、色々なものが混ざった結果発生しています。ですから、例えばある薬品を使えば物質Aは消えるけれど、物質Bは消えないというように、なかなか万能の対策を用意するのは難しいのです。このため、世の中には色々な消臭剤が出ていて、においを消すための実験も繰り返し行われていますが、実際の現場だとにおいが消えないということはよくあります。

においは何故必要なのですか?

米島:「におい」の代表的な役割として、危険を知らせるというものがあります。例えば、灯油の匂いがまったくしないと、何か分からず誤飲の危険などもありますし、腐敗臭は腐っている食べ物を間違えて食べないためには必要です。においは人間が生活する上で必要なものではあるのですが、やはりこういった時代ですから、どうしてもにおいを消さなければならない環境や状況はあります。

永田:もうひとつ、必要なにおいとして「フェロモン物質」があります。フェロモン物質を含んだにおいは、オス・メスが引き寄せ合うためにも出ていて、人間も勿論そうですが、動物の食欲や性欲を喚起するものでもあります。本来、動物にとってにおいは必要なものなのです。

米島:特に、犬などを飼っていると、必ず人間のにおいをかいで来ますが、これは犬の挨拶となっています。においをかぐことで、「この人はどういう人間なのだろう」「ひょっとしたらどこかに病気を持っているんじゃないか」とか、「この人が強いのか弱いのか」といったことを判断しています。このように、フェロモン物質のにおいを感知するということが動物にとっては非常に重要です。

永田:虫などは、ほとんど視力がなく、においだけで行動しているものもいます。ダニやゴキブリなどもそうです。目はそんなに良くないので、においで「ここにエサがある」「ここにオス・メスがいる」などをかぎ分けています。脳がそこまで発達していないため、においに対しては本能的・反射的に反応するようになっているのです。アリの行列などがそうですが、このにおいがするところに向かって、みんながにおいを残し、仲間のにおいをたよりに目的のものに辿り着きます。

ですから、例えば防虫などについては、ダニ・ノミ・チャバネゴキブリなどは、におい・フェロモンをたよりに動いているため、においを消すことでそういった手がかりを断つことができれば、虫は「ここにいても意味がない」と判断して、いなくなります。
例えば、もらった犬にノミがたくさんついていた場合などには、駆除剤などを使うことも大切ですが、普段からにおいを断って、よりつかないようにしておくことが犬のためには良いのです。

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