ペット用消臭剤開発のハーパー・ベンソン(株)「大切なのは"においを消し続ける"という発想でした」

抗菌と除菌には、どの様な違いがありますか?

永田:殺菌、除菌、抗菌だとか、色々な言葉があって表現は難しいですが、私どもが作っているのは抗菌剤です。最近、「抗菌加工済み」といった製品が沢山出ていますが、これらは製品を加工して、細菌が付着しても増殖しないようにしているものです。このように、菌が増殖しないようにするのが抗菌です。これに対して、除菌・殺菌というのは、今いる菌に薬剤等をかけると菌が死んでいなくなるような効果をさします。
除菌というのは一時的ながら、今いる菌をなくすことができるという効果があり、抗菌というのは今以上に増えないようにおさえるという効果があるといえます。
抗菌も除菌も、においの発生を防ぐことには繋がります。菌自体ににおいがあるわけではなく、菌が代謝することによってにおいは発生しますから、菌が生息しやすい環境ではにおいが発生しやすくなるのです。

御社で消臭剤を開発するに至った経緯をお聞かせください。

永田:私どもの元々の開発は、菌やウイルスに関することから始まりました。ある大きな病院から院内感染を防ぎたいという依頼を受けたのです。院内感染を防ぐ為には、まず除菌をするのですが、菌やウイルスは浮遊して常に空間に存在するので、常に除菌をし続けなければなりません。除菌し続けるためには、まめに手や環境を除菌するのが理想ですが、これでは手間がかかって大変です。こういった状況で、「どうにかして除菌し続けることはできないだろうか」という依頼を受け、私どもは開発をスタートしました。

このような経緯を経て、除菌効果の継続性がある抗菌剤を作りました。この抗菌剤を壁や環境に噴霧しておくことで、成分がついた場所は常に除菌され続けます。菌やウイルスに感染した人が何かを触って、そのまま別の人がそれを触れば菌がつきますが、感染した人が触った後にその菌が死んでしまえば、別の人が触っても問題ありません。この発想を元にして、抗菌剤を作り、環境に撒いておくようにお願いしました。

結果として、依頼元の病院では環境内でのウイルスの感染や、病気がうつることが減りました。これはこれで狙った通りの良い結果を得たわけですが、病院の方から「この抗菌剤を撒いていると、においも消えますね」という感想を頂きました。実は、においが消えることに注目したのはこの時が初めてでした。
改めて、抗菌剤の消臭効果を調査してみたところ、菌がいなくなることでにおいが消えるということに加え、アンモニアに対して劇的に効果があることがわかりました。具体的に言えば、一般的な家庭用の消臭剤で言われている基準に比べて、約60倍の効果があることがわかったのです。

この抗菌剤は壁等、環境に撒いておくと、成分が結晶化して乾いて菌を殺し続け、アンモニアも壁に薬品がぶつかった際に吸着します。その後さらなる調査をおこなったところ、タバコや体臭などのにおいについても効果があるということがわかり、消臭剤として製品化することとなりました。

消臭を効果的に行うにはどうすれば良いのでしょうか?

永田:特に、においの問題で言うと、結晶が残ってにおいを消し続けるということに大きなメリットがありました。
「においを消す為にはどうすれば良いか」ということをよくよく考えてみると、空気を入れ替えれば良いんですね。においは空気ですから、部屋のにおいを消したいのであれば、丸ごと空気を入れ替えればにおいはなくなるはずなんです。しかし、においで困っているという場所では、空気を入れ替えても、においが消えずに残ってしまうことが多いのです。これは、その環境に匂いの元があったり、壁や部屋中に染み付いていて、においが発生し続けているのが原因です。

本来は、においの元を取り除くことと、空気を入れ替えることで解決するはずなのですが、においの元をどうしても取除けないような環境もあります。例えば、ずっとタバコをすっていた部屋、ペットを飼っている部屋、介護をしていて汚物をすぐに処理できない環境などでは、部屋ににおいが染み付いています。当社が開発した消臭抗菌剤・ミラクリーンPを使えば、壁に消臭成分が留まるため、じわじわと湧き出続けるにおいを消し続けてくれます。

一度消しただけでは、においがじわじわ出てきますから、部屋に染み付いたにおいを消すためには、「強力な消臭剤で、一瞬で匂いが消える」というのはあまり意味がないんですね。大切なのは、「においを消し続ける」という発想だったのです。
この着眼が評価されて、様々な現場で業務用の消臭剤としてミラクリーンをご利用いただいています。ペットを飼っていらっしゃるところではもちろん、住宅会社やマンションの管理会社などでも使っていだたいています。特に、火災現場の後だとか、孤独死などで人が亡くなった後、いわゆるゴミ屋敷といわれるような場所だったり、喫煙をよくしていた場所などでは、においがどうしても消えにくい場合があります。このように、においが環境に染み付いてしまったり、壁紙を貼り変えてもまだにおいが消えなかったりといった場合にも、よく使っていただいています。

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