ペット用消臭剤開発のハーパー・ベンソン(株)「大切なのは"においを消し続ける"という発想でした」

消臭剤自体のにおいについてはどうなっているのでしょうか?

永田:現在、香りブームということで香りの多い消臭剤が流行っていますが、そういった香り自体が苦手な方もいらっしゃいますし、ペットなどは特に敏感です。そういう場合のために無香料の消臭剤がありますが、実は無香料というのは、「香料が入っていない」ということであって、「無臭である」ということではありません。エタノールなどのアルコール分であったり、界面活性剤の石けんのようなにおいがあるため、無香料でもにおいはします。当社の製品の場合、無香料というだけでなく、においが全くないということから、ペットを飼育されている方に特に好んで使っていただくことが多いです。

一般的な消臭剤は、どのように消臭をしているのでしょうか?

永田:よく使われている家庭用の消臭剤の消臭方法では、広告などでも言っているように、ある程度は除菌も行っています。しかし、混ぜると泡立つので分かると思いますが、基本的な原理としては、界面活性剤という石けんのような成分が含まれており、これを空気中に撒くことで空気中のにおいの成分を捕まえて床に落とす仕組みになっています。この作用によって、確かに空気のにおいは一瞬なくなり、香料の香りがふわっと広がることで、においが消えたように感じます。しかし、それが乾いてしまうと、においは再び床から湧き出て、戻ってきてしまいます。基本的にはこの繰り返しなんですね。

よく、布の消臭について触れた宣伝文句がありますが、使い方の説明をよく見ると、「布がびっしょりと濡れるくらいに撒いてください」と書いてあります。確かに、濡らしてしまえばにおいは湧き出なくなりますが、これは界面活性剤でにおいの成分を押さえつけている状態で、乾けば元の状態に戻ってしまいます。においでお困りの多くの方が「家庭用の消臭剤を使ってもすぐにおいが戻ってしまう」とおっしゃるのは、この仕組みが原因なのです。

こういった消臭も、立派な消臭方法のひとつではありますが、持続的な消臭ということを考える場合には、あまり効率の良い方法では無いのかもしれませんね。また、界面活性剤は床やソファー、カーペット、カーテンなどに残るので使い続けるとベタベタしてきて、汚れがつきやすくなるという弱点もありますから、注意が必要です。

米島:また、話は少し変わりますが、最近、皮膚病や内臓疾患になるペットが増えています。 動物病院の先生の中には、一般的な消臭剤に含まれる、香料や除菌剤が原因の1つと考える方もいて、なるべく使わないように促しているケースもあるそうです。

御社の製品の安全性についてはどうでしょうか?

永田:元々、私どもが研究開発を行っていた項目に、食品の鮮度保持・防カビの研究がありました。これを応用して、先程お話しした院内感染を防ぐ製品を制作したため、安全性の高い製品開発を行うことができました。なんと、ミラクリーンPは清涼飲料水の品質検査基準をクリアする程の安全性を誇っています。飲料用の製品としては作ってはいないものの、例えばこれを誤って飲んでしまったとしても健康上の問題はありません。

おかげさまで、ペットを飼育している環境でも安心してご使用いただける製品になっています。ペットのゲージやトイレに撒いていただいても問題はありませんし、ペットがなめても全く問題有りません。製品の成分にミネラルが含まれているからか、むしろ好んでなめる犬などもいるそうです。

御社の製品にはは真菌症にも効果があるそうですね。

永田:はい。ミラクリーンを、お部屋の壁や床にスプレーしておくことで、空中を浮遊する真菌類の発育を抑える効果があります。学術的にもその効果が実証されており、糸状菌対策として、部屋の清浄にミラクリーンが有効であると、日本獣医皮膚科学会で、論文発表されています。(※キャテリーにおける皮膚糸状菌症の発生/1997/安藤純、沢田努、永田雅彦/日本獣医師会雑誌vol.50)
皮膚糸状菌症とは、犬や猫だけでなく人間にも感染する人畜共通感染症です。水虫等と同じ真菌性の病気で、薬物を処方しても治るのに4週間以上かかる場合があります。日本獣医皮膚科学会での試験では、ミラクリーンを環境に散布することで、薬物処方と同じ程度の期間での治癒が確認されました。

米島:皮膚糸状菌で悩まれている方は沢山います。病院に行けば抗生物質やステロイドなどで症状をおさえることは出来ますが、カビ菌ですから、部屋を綺麗にしない限りは、環境に菌が残り続けます。糸状菌は乾燥した状態で、7年という長い期間を生き続けるそうですから、症状を治したとしても生活環境が改善されないと、何度も症状が再発してしまうことになります。

永田:特に多頭飼いをなさっている方の場合、一頭を治しても、もし他の犬が保菌していたら再発してしまいます。菌の根絶を目指すという点から、ミラクリーンPの使用をおすすめしています。

ハーパーベンソン社の今後の展開についてお聞かせください。

永田:においの問題というのは、においの元を断つことが何より重要です。
一般的な消臭剤の宣伝文句などを見ていると、「消臭剤を撒くことでにおいが消える」、「においを消すには消臭剤が必要」と思っている方々が多いように思いますが、それは誤解です。

私どもは消臭剤を取り扱っている立場ですが、敢えて言うならば、においを消すためには消臭剤に頼るのではなく、においの元を絶つことが第一なのです。
例えば、キッチンが油臭いからといって消臭剤を撒いてもいけません。まずは、油を取除かなければなりません。部屋がタバコ臭い、壁がタバコ臭いならば、まずはヤニを落としたり壁紙を変えるべきなのです。
ですから、今後は消臭からさらに一歩踏み込んで、そういった油やヤニが劇的に落ちる様な洗浄剤の販売を行っていき、トータルのソリューションとして、においを消すということを提案していきたいと考えています。

追記:ミラクリーンの味を体験してみました。

ミラクリーンPは清涼飲料水の検査基準を満たしているということでしたので、取材の最後にミラクリーンPの味見をさせていただきました。筆者が実際になめてみたところ、味は酸味が強く、レモンのようなすっぱさがありました。味付けはされていないため、とても美味しいというものではありませんでしたが、強い刺激があるわけではないので、これなら犬や猫がなめても大丈夫だと感じました。

※「HACCP-A」については、現在、承認の更新を行なっていないため、カタログ等からは表記を削除しています。ご了承下さい。

【取材先情報】
ハーパーベンソン株式会社
専務取締役 永田 雄一
第二事業部 部長 米島 勝彦
<本社・営業本部>〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷5-26-5-701
TEL : 03-3226-8991(代) FAX : 03-3226-8379
ハーパーベンソン株式会社 http://harper-benson.com/
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