猫の食性は真性肉食動物。ヒトの約2.7倍のたんぱく質が必要です

かわいい猫に健康でいてもらうためには…?まずは猫の食性を知り、必要なたんぱく質量などを把握しておきましょう。
猫の食性は肉食動物。単独で狩りをします
食性とはその動物がおもに食べる食物の種類と、捕食方法など食べることに関する習性のこと。私たち哺乳類は、肉食・草食・雑食といった食性に分かれています。
ヒトはサル目ヒト科に、猫(イエネコ)は食肉目ネコ科に属します。ヒトの食性は同じヒト科のゴリラやチンパンジーと同様に雑食動物。食肉目ネコ科の猫の食性は真性肉食動物です。
ライオン以外のネコ科動物は、基本的に単独で行動し狩りも単独で行います。狩りの失敗やなわばり争いの負傷は生死に関わります。だからネコ科は、群れで暮らす他の動物に比べ慎重で用心深い性格なのです。イエネコにもこの慎重な性格が引き継がれています。

猫に必要なたんぱく質量はヒトの約2.7倍
猫の健康を保つには、猫の食性に沿った栄養を摂取させることが大切です。
環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」に記載された、たんぱく質の推奨量を見てみましょう。たんぱく質は、筋肉や皮膚、被毛、骨、血管、臓器の元となる役割と、酵素や抗体、ホルモンといった機能成分になる役割があります。
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真性肉食動物の猫は、ヒトの約2.7倍ものたんぱく質を必要としています(男性と女性の中間値24gで計算)。肉食動物でも雑食性の高い犬は、ヒトと猫の中間くらいです。
ネコ科の動物は、ネズミや鳥などの小動物を1日に何回も捕食します。体重4キロ前後の成猫の場合、必要な食物はネズミ10匹以上になるそうです。
肉食動物の特徴。猫は腸が短い
肉食動物は草食動物に比べて腸が短くなっています。下記、消化器内容積比、腸管の長さ:体長比を見てみると、真性肉食動物の猫と雑食動物のブタ、草食動物のウサギやウマでは大きな違いがあることが分かります。
前述したたんぱく質推奨量と同様に、猫と犬の違いは腸の長さ:体長比からも分かります。
消化器官内容積比 (消化器官全体を100として) | 消化器官内容積比 (消化器官全体を100として) | 消化器官内容積比 (消化器官全体を100として) | 腸管の長さ:体長比 | |
胃 | 小腸 | 大腸 | 腸管:体長 | |
猫 | 70 | 14 | 16 | 4:1 |
犬 | 62 | 23 | 15 | 6:1 |
ブタ | 30 | 34 | 37 | 25:1 |
ウサギ | 25 | 9 | 65 | 10:1 |
ウマ | 9 | 30 | 61 | 15:1 |
※数値は四捨五入。ウサギの値は幅があるので平均値を示した。
猫の食性を考えたフードと与え方
以上のように猫はヒトや犬よりも多くたんぱく質を摂取する必要があります。たんぱく質のほかにも、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラルが必要です。これらにも猫の食性ならではのものがあり、ヒトや犬とは違います。
猫の食性を考えたキャットフードが「総合栄養食」です。総合栄養食はこれだけで猫の健康を維持できる栄養バランスのとれたフードで、毎日の主食として与えるよう作られています。ドライもウエットもあります。
公正競争規約に定められた「栄養成分の基準」を満たしたペットフードのみが「総合栄養食」と表示しています。記載される「栄養成分等の基準」はアメリカで用いられているAAFCO(米国飼料検査官協会)と同様です。

猫は1匹で1日に何度も狩りをして獲物を食べていました。この食性から、猫のフードは1日の量を数度に(2回以上)分けて与えます。一度に少量しか食べない猫には、ドライフードの置き餌がいいでしょう。フードの温度は、仕留めてから少し経った獲物の体温くらい※がベター。猫同士がまだ慣れていない多頭飼育では、別々の場所で与えたほうがいいかもしれません。
※参考:小鳥の体温は42~43度、ネズミの体温は37度。

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