猫の腎臓病は3つの治療で進行を遅らせる!
猫の腎臓病は治らない病気。でも、飼い主の取り組み次第で進行を遅らせることができます。今回は愛猫の腎臓病を経験した当サイトスタッフが治療についてお伝えします。
ネフロンが線維化する猫の腎臓病
猫の腎臓は、血液をろ過・再吸収・分泌・濃縮して尿をつくる「ネフロン」という機能単位でできています。猫の慢性腎臓病は、このネフロンが少しずつ線維化することから腎臓が徐々に機能しなくなる病気。一度、線維化したネフロンはもう元には戻りません。
腎臓病の猫は、ネフロンがもつ「再吸収機能」も失ってしまうため脱水症状に陥ります。そして、老廃物(尿素窒素:BUN)や毒素をうまく体外に排出できず、血液がキレイになりません。気持ちが悪くなり、元気消失、食欲不振、嘔吐、多飲多尿、ぼうこう炎、腎盂腎炎などを引き起こします。やがて尿毒症を起こし命を脅かします。
猫の腎臓病の3つの治療
飼い主さんが取り組む猫の腎臓病治療は、大きく分けて以下の3つです。
①脱水症状を補う=水を多く摂らせる、皮下輸液を行う
できるだけ水を多く飲ませる工夫をします。飲水ポイントを増やし、猫が気にいった器や飲水スタイル(流水が好きな猫はウォーターファウンテンを使う、など)で飲めるようにしてあげます。
腎臓病の中期(ステージ3)以降は頻繁に動物病院に通うことに。血液検査で各数値を確認しながら皮下輸液を行ったり、吸着剤やサプリメントのアドバイスを受けることがとても重要です。
●MEMO●
動物病院が苦手な愛猫は、血液検査の採血で毎回失禁するほど。これに皮下輸液が加わると猫へのストレスが大きすぎると考えた飼い主は「ギリギリまで療法食・吸着剤で何とかしたい」と皮下輸液をためらっていました。しかし食欲低下が改善しなくなり、いざ皮下輸液をやってみると、失禁・抵抗・震えもなくすんなり完了。
ホッとするとともに、猫の食欲低下に右往左往していた飼い主は「もっと早くからやればよかった」と後悔。皮下輸液は思ったほどハードル高くないです。猫の病院嫌いでためらっている飼い主さんは早めにお試しを!
参考:猫の腎臓病、週1回の皮下輸液で食欲が復活!飼い主に心のゆとりも
➁BUN・塩分・リンの制限=療法食、ケアフードを与える
たんぱく質は代謝されると尿素となり、腎臓から排出されます。BUN(尿素窒素)とは尿素に含まれる窒素のこと。尿素窒素はたんぱく質を多く摂るほど増えます。
そのため猫の腎臓病では、低たんぱく質のフードが推奨されます。また、腎臓病の猫はナトリウムやリンも尿から排出できないため、摂取する量を制限する必要があります。
腎臓病の猫には、低たんぱく質、低ナトリウム、低リンの療法食、腎臓ケアフードを与えます。とはいえ猫は肉食動物。療法食を食べない猫も多く、飼い主さんを悩ませます。
●MEMO●
愛猫はウエットフードしか食べないので療法食ではとても苦労しました。ウエットの腎臓病療法食は手に入るものすべて試しましたが、続けて食べてくれるものはなく、2~3日に1度程度に。塩分計を使って低ナトリウムの一般フードやシニアフードを探し、玄米や野菜を加えたり工夫しました。
参考:猫の腎臓病療法食はおいしくない!? 猫が療法食を食べないとき、できることは?
キャットフードやちゅ~るの塩分濃度にご注意!猫の慢性腎臓病で塩分チェック始めました
➂BUN・リンの排出:吸着剤・サプリメントを投与
吸着剤を投与する目的は、猫が尿で排出できなかった老廃物=尿素窒素(BUN)を吸着して便で排出すること。猫に経口投与し、消化の過程で老廃物を吸着します。十分な量を与えることができれば、腎臓病による気持ち悪さ、食欲不振、嘔吐といった症状が抑えられます。
猫の腎臓病がさらに進むと、血液検査でリンの数値が上がり出します。ここでリンの吸着も考慮します。
リンはミネラルの一種で本来は骨や歯を固く丈夫にする成分。カルシウムと結合する性質があります。リンが増えすぎるとカルシウムを増やすホルモンが分泌され、骨を溶かしたり臓器の石灰化が起こるためリンへの対策が必要です。
●MEMO●
錠剤、カプセル、液剤、粉剤などさまざまなタイプを試しました。吸着剤は猫に与えやすいかどうかが一番のポイント。また十分な量が投与できるかどうかもポイントです。
一番よかったのはキドキュア。キドキュアは少量の水を加えて練るとやわらかいお団子になります。これをメディボールで包んでフードに混ぜたりちゅ~ると投与。
使いにくかったのはそのままフードに混ぜるタイプの粉剤。「味が変わらない」とありましたが、少し混ぜただけで猫は食べなくなり…。
効き目に関してはどの吸着剤にも一定の効果を感じました。
◎与えやすい
▲与えにくい
参考:猫の慢性腎臓病。多飲多尿でラプロスとカリナール2を投与。2か月後の結果は…?
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