動物病院を怖がる猫に。キャット・フレンドリー・クリニックを見つけてあげよう

あなたの猫は動物病院を怖がりませんか? 現在の動物病院に疑問があったら、猫にやさしい動物病院を探してみましょう。
猫はどうして動物病院が怖いの?
ペットたちにとって動物病院は「いやな場所」。なかでも猫は、硬直して震え、ひどい場合は失禁・脱糞など極度の緊張状態を示す個体がいたり、唸る・引っかく・噛むといった暴れる個体がいます。これらは猫への大きな負担となるばかりか、人がケガすることも…。

なぜ猫は動物病院でそうなってしまうのでしょうか?
まず猫は、ワンコと違って散歩で外に出ません。外に出かけること自体が「恐怖」なのです。そんな恐怖の中で、わけのわからない目に遭ったら…? 例えば、身体を押さえつけられたり針を刺されたり変な機械に固定されたり(注射・採血・レントゲン・エコー)。体中を触られ、口を開けられ、耳やオシリに何かを入れられ、爪を切られ…。これらに痛みが伴う場合もあります。そう考えると、やはり動物病院は猫にとって怖い場所になってしまいます。
また動物病院には、猫が普段あまり接することがない他の動物も来ます。犬などの鳴き声、においに恐怖に感じる猫もいます。
猫はいやなことを忘れない動物
猫と何年か暮らした人はわかると思いますが、猫はいやなことをいつまでも覚えています。例えば棚に上った瞬間に壊れて落ちてしまい、飼い主さんが直して「大丈夫だよ」と教えても、ぜったいその棚には登りません。些細なことでも、時間が経っても「そんなこと覚えているの⁉」というのが猫という動物。
猫にとってそれは野生時代の生き残る術でした。危険な相手・場所・状況をしっかり覚えておき、次はそういう目に遭わないように回避していたのです。

猫にやさしい動物病院とは?
一度、怖い目に遭った猫はずっと覚えています。だから猫には「動物病院でいやな目に遭わせないこと」が重要です。猫のことを知り尽くした猫にやさしい動物病院なら、猫がいやな目に遭わないよう設備を工夫したり、猫の恐怖を最小限にする技術があります。

例えば、待合室にはほかの猫、犬、その他動物に会わない工夫があります。予約と予約の間を長めに取ったり、待合室が複数ある病院も。診察や各処置の際は、できるだけ猫に恐怖を与えない保定で手早く行うことができます。
猫にやさしい動物病院を見つけよう
「猫にやさしい動物病院」はどう見つけたらよいのでしょうか? まずは「猫専門の動物病院」と看板を掲げているところ。そして、キャット・フレンドリー・クリニック(CFC)の認定を持つ動物病院を探してみましょう。
キャット・フレンドリー・クリニックとは、猫にやさしい動物病院の“道しるべ”としてiCatCare※によって確立された国際基準です。専門性の高い猫の知識と質の高い猫医療を提供する猫専任従事者(CATvocate☆)が在籍し、設備・機器などの満たすべき基準をクリアした動物病院が認定されています。
現在のところ日本には181のキャットフレンドリー・クリニックがあります。まずはJFSM(日本猫医学会)「キャットフレンドリー・クリニックCFC取得病院紹介」から、みなさんがお住まいの地域にCFC取得病院があるかどうか探してみてください。

※ iCatCare:英国に本部を置き、猫のケア、健康、福祉の向上を目指して活動。獣医学部門である国際猫医学会(ISFM)を通じ、猫の病気だけでなく猫にやさしい環境づくりや適切なケアに関する情報提供を行っている。
☆ CATvocate:JSFM(日本猫医学会)が主催する、猫にやさしくより詳しい知識を持った獣医師や動物看護師の育成を目的にした認定制度。JSFMサイトからCATvocate取得者が在籍する病院を調べることができる。
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