犬のコアワクチン、ノンコアワクチンとは?

春の訪れとともにやってくる狂犬病予防接種。狂犬病ワクチンは犬のコアワクチンのひとつですが、犬のコアワクチンはその他にもあります。改めて犬のワクチンについて考えてみましょう。
犬のコアワクチンとは?
犬のコアワクチンは狂犬病ウイルスを含む以下4種。いずれも死亡リスクが高い感染症ワクチンのため、すべての犬に接種すべきものです。
コアワクチンの種類 | 予防できる感染症について |
狂犬病ウイルス | 哺乳類すべてに感染し致死率ほぼ100%。性格変化と行動異常から徘徊、何にでも咬みつく興奮状態へ。さらに進むと全身麻痺による歩行困難、流涎、昏睡状態から死亡 |
犬パルボウイルス | 発熱、元気・食欲減退、下痢、嘔吐、血便、脱水、白血球減少により死亡することもある腸炎型と仔犬の突然死を引き起こす心筋炎型(2型)がある |
犬ジステンバーウイルス | 初期症状は目やに、鼻水、発熱、食欲低下と軽いが仔犬や老犬は二次的な細菌感染で重篤に。顔や手脚にチックなどの神経症状・脳炎から歩行困難に |
犬アデノウイルス2型(犬伝染性肝炎/犬伝染性咽頭気管炎) | 比較的仔犬が重篤になり、発熱、下痢、嘔吐、腹痛などが出現。最悪の場合は死亡。重篤な犬は回復期にブルーアイと呼ばれる角膜混濁が出現 |
犬のコアワクチンのもっとも安全で効果的な接種は以下とされています。※
※世界小動物獣医師会のワクチネーションガイドライン
- 狂犬病ワクチンは生後91日以上の犬を飼い始めたら30日以内に接種。以後は毎年1回接種
- 仔犬は1回目を生後6~8週に、2回目以降は2~4週間間隔で数度、最後は16週以降に接種
- 6か月または1年後に再接種(ブースター)した後は3年以上の間隔で追加接種

コアワクチンの免疫のつき方は犬それぞれ
犬のコアワクチンは、ブースター接種後3年以上の間隔で追加接種します。これは、犬によって免疫のつき方に差が出てしまうため。一度の接種で3年以上免疫をもつ犬が多いものの、1年しかもたない犬もいるそう。また、特定のワクチンだけまったくつかない、一生有効という犬もいます。やはり免疫は複雑ですね。
コアワクチンの抗体量は抗体検査で調べることができます(ワクチチェック)。この結果から追加接種の時期を決める動物病院も増えてきました。
抗体が陽性だったら追加接種を見送り、抗体が陰性だった場合は追加接種をします。これにより過剰接種による副反応を回避することができます。

犬のノンコアワクチンとは?
ノンコアワクチンは感染リスクがある犬にだけ接種するワクチンです。居住地域で多い感染症や犬のライフスタイルを踏まえ、獣医師と相談して決めましょう。
例えば、川や海で遊ぶ犬にはレプトスピラを接種するなど、必要に応じて選びます。
ノンコアワクチンの種類 | 予防できる感染症について |
犬パラインフルエンザウイルス(伝染性気管支炎) | 咳や鼻水、発熱、元気・食欲の低下などの呼吸器症状が特徴。単独感染では症状が軽いものの、他のウイルスや細菌と混合感染すると重篤なケンネルコフに。 |
犬コロナウイルス | 仔犬が感染すると、下痢、嘔吐、食欲減退、激しい胃腸炎を発症。オレンジ色で粥状の便や血便が出る。犬パルボとの混合感染で死亡リスクが高まる。成犬は無症状の場合も多い。 |
レプトスピラ(5つの血清型) | 発熱、出血、黄疸、腎不全や乏尿などの症状、ひどい場合には死に至ることも。病原性レプトスピラ菌に汚染された土壌や水から感染。 |
犬のノンコアワクチンは、毎年1回接種することが推奨されています。※
※世界小動物獣医師会のワクチネーションガイドライン

何種混合ワクチンを選べばいい?
狂犬病ワクチン以外は2~11種の混合接種が可能です。一般的といわれる6種は、レプトスピラ以外のコア3種+ノンコア3種。7種以上の混合ワクチンは、レプトスピラ(5種)のいくつかが入っています。
選ぶ基準となるのは、犬が暮らす環境やライフスタイルです。
- 愛犬はいつも室内にいて外出することはほとんどない
- ほかの犬と触れ合うことがない
▶▶▶5・6種ワクチン
- 外に出るのは散歩程度
▶▶▶8種ワクチン
- 外で遊ぶことが多い
- 海や山など、アウトドアレジャーによく出かける
- 愛犬とのスキンシップが欠かせない
- ご家庭に小さなお子さんやお年寄りがいる
▶▶▶10種ワクチン
犬のワクチン.com(ゾエティス)
動物病院によって推奨する混合ワクチンは異なります。希望のワクチンがある場合は前もって獣医師に聞いておくといいかもしれません。
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