犬のレプトスピラ症~人への感染経路と予防法〜

犬 レプトスピラ

レプトスピラ症の特徴と感染経路

レプトスピラは多くの動物に感染する細菌(スピロヘーター)の一種で、血清の型により数種類に分類されています。犬だけでなく人や猫にも感染することがありますが、猫の場合は感染しても発症しないことが多いようです(不顕性感染といいます)。
この細菌の特徴は粘膜表面傷口から侵入できること。そして、血液中や腎尿細管上皮・肝臓などで増殖し、特に腎臓肝臓に障害をもたらします。
日本では4類感染症に指定され、診断した医師・獣医師はただちに厚生労働省に届け出なくてはなりません。

■厚生労働省:レプトスピラ症「感染症法に基づく医師及び獣医師の届出について」

感染経路は、咬傷・交尾や、感染した動物の尿、または尿によって汚染された水に皮膚粘膜や傷口が直接的・間接的に接触するなどして、胎盤を通じて母親から子供に感染します。
感染動物との直接的な接触がまったくなくても、温暖で湿度のある空間(環境)、中性からアルカリ性の水溜りなどがレプトスピラに汚染されていると感染することがあるようです。レプトスピラは湿潤な環境では数週間から数か月も生存することができますが、乾燥した環境には弱く長く生存できないことも特徴です。東日本より西日本での発症例が多いようです。

レプトスピラ症の症状

発症したときの症状は体内に侵入増殖したレプトスピラの量・型の種類・感染動物の年齢や免疫により異なりますが、甚急性・亜急性・慢性で症状を分類することができます。
甚急性は嘔吐・下痢・脱水・筋肉痛や全身筋肉の弛緩・ショックと突発的な高熱とともに急死することが特徴です。また、歯肉や粘膜に点状出血が現れます。
亜急性は嘔吐・下痢・脱水・食欲不振・多飲多渇・粘膜のうっ血・点状出血・発熱が見られますが、肝機能障害を引き起こすと黄疸が見られ、腎機能障害を引き起こすと乏尿や無尿の急性腎不全に進行することもあります。そのため回復しても慢性の腎不全になることがあるのです。
慢性の場合は発熱と腎臓や肝臓の疾患の兆候が曖昧に表れ、腎炎が継続することもあります。

レプトスピラ症予防の基本はワクチン接種

レプトスピラ症の感染を予防する基本はワクチン接種です。ワクチンについては一度だけ接種すれば良いものではなく、定期的な接種が必要となります。具体的な実施時期や方法については、かかりつけの獣医師の指示に従うようにしてください。
レプトスピラ症はワクチンの普及によって次第に根絶されつつありますが、私たち飼い主は環境を清潔にして菌が繁殖しにくい状況にしておくこと、そして愛犬の定期的な健康診断を実施することが重要です。

活性酸素を活用した除菌消毒剤も有効

特に尿の始末や清掃には配慮をしなければなりません。お散歩中の愛犬の排尿をそのままにして立ち去る飼い主が未だにいるようですが、最低でも水をかけるなどのマナーを守るべきでしょう。分譲マンションや集合住宅内での廊下やエレベーターなどの共用部分では、飼い主は感染症についての配慮をしなければなりません(排泄をさせたままでは他の入居者ともトラブルとなってしまいますね)。

感染症予防のためには、水ではなく専用の消臭除菌剤消毒剤を排尿時の清掃に利用されることをお勧めします。アルコール・次亜塩素酸・二酸化塩素・可視光型光触媒(灯り触媒)などの液体スプレーが市販されていますが、全ての菌やウィルスに有効と考えられているのが活性酸素を活用したものです。市販されているものは安全試験も完了していますから安心して利用できます。

活性酸素の中でも特に効果が高いとされているのがOHマイナスラジカル(ヒドロキシラジカル)で、二酸化塩素・可視光型光触媒(灯り触媒)などが、このOHマイナスラジカルを発生させて消臭除菌や消毒をするものです。これらの製品は、まだまだ社会に浸透しているとは言えませんが、感染症予防のためにも社会に早く浸透してもらいたいものですね。

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