判明から4年8か月、腎臓病の猫が亡くなりました。末期の経過と強制給餌について
当サイトスタッフの腎臓病の猫が2月末に亡くなりました。20歳だったので大往生…といいたいところですが、飼い主としては後悔することも…。
腎臓病末期から亡くなるまでの経過をご報告します。まとまりに欠けるかもしれませんがご参考になれば幸いです。
目次
2021年春、猫の腎臓病はステージ4へ
猫の腎臓病はステージ1~4に分かれています。ステージ4(末期)はクレアチニン値5.0以上が目安になります。
愛猫のクレアチニン値が初めて5.0以上となったのは2020年の春。幸い抗生剤と皮下輸液で持ち直し、その後は3.0~4.6内を行き来していました。再び悪化したのは翌2021年の春。またも抗生剤と皮下輸液で持ち直したものの6月は6.8に。7月に下がったのもつかの間、8月にはまた上昇。こう見るとステージ4に上がったのは2021年春、と言えそうです。
※リンの目安:ステージ3=5以下を維持、ステージ4=6以下を維持
夏~秋は大きな悪化もなく…
2021年夏~秋にかけては、在宅勤務のおかげで自宅で吸着剤・サプリメントの投与、2日に1度の皮下輸液を続けました。猫は食欲にムラがあるももの嘔吐も少なく、おもらしは夏より減少。時々息の早さを感じましたが、すぐに治まっていました。
投与してたものはこんな感じです。
- キドキュア
- ペットチニック
- ラプロス
- KINS WITH
キドキュアは水を加えて丸めるとソフトキャンディのようになり、猫が飲み込みやすいです。
10月になるとフードの選り好みが目立ち始めました。
そこで11月から獣医師に勧められたアミンアバストを追加。「これ以上、投与するものが増えると嫌がられるかも?」という懸念がありましたが、幸い少量であればフードに混ぜて食べてくれました。そして…食欲がUP!
猫の食欲が急降下。「入院はしない」という選択
よく食べて調子が良かったので帰省(東京‐埼玉)にも連れて行きました。戻ったあともパウチフードを2パック半食べるくらいのグッドコンディション。
そんな猫を見て飼い主は「吸着剤・サプリ・皮下輸液で食欲をキープできれば、末期でもあと1年くらいは…?」と楽観的な気持ちになっていたところ…。
1月下旬から少しずつ食欲が落ち始めました。動物病院では食欲増進剤や制酸剤を注射。消化器機能を促す内服薬や制酸剤を処方され投与しました。
獣医師には「入院して24時間の静脈輸液を」と提案されましたがやめました。というのも、猫には乳腺腫瘍で入院・手術を3回もさせ、そのたびにとても憔悴していたので「もう入院はさせない」と心に決めていたのです。
難しい強制給餌
内服薬の効果はなく、猫の食欲はどんどん落ちて2月上旬にはまったく食べなくなりました。血液検査の結果は絶望的な数値に。
- BUN(尿素窒素):140.0以上※測定不能
- Cre(クレアチニン):8.95
- P(リン):15.0
獣医師から「強制給餌」を教えてもらい始めることにしました。
▼こちらが動物病院で処方された強制給餌用の流動食(粉をお湯で溶かして使用)
強制給餌には「誤嚥」のリスクがあります。誤嚥を防ぐには、口の中にフードが入ったらその都度、嚥下(ごっくん)を確認します。
▼こちらが参考になりました
始めてみると強制給餌はとても難しいものでした。
猫の口にシリンジを差し入れると同時にピストンを押します。その瞬間、猫が不意に顔を動かすので、流動食は口周りに付いてしまったり、下に落ちたり。歯ぐきにシリンジの先が当たって危ないし、ベタベタのフードが周りに飛び散ります。実際は用意した流動食の半分くらいしか与えられていなかったのでは…。
▼シリコン製アタッチメント付きのシリンジを購入
気分が悪くて食べたくない猫からすると、無理やりおいしくもない流動食を口に入れられるわけです。その苦痛を考えると、強制給餌はつらい時間になりました。
日に日に痩せていく腎臓病末期の猫のケア
チューブ・ダイエット 猫用キドナは猫の腎臓病の特別療法食であり、食べられない猫に対する消化や栄養を考えたもの。猫の食欲にムラが出てからは療法食以外の「食べてくれるフード」を与えてきたので、回復を期待しました。これにペットチニック(貧血改善の)やアゾディル(生の乳酸菌サプリ)を追加。
しかし猫の低下する体力から推奨量をクリアできず、どんどん痩せていきました。猫はガリガリになった身体でもフラフラ歩いてトイレに行くのですが、間に合わずに途中で出てしまいます。トイレは猫ベッドの側に置きました。また、お水を飲むときも飼い主の支えが必要に。
痩せた身体には「冷え」が命とりになります。洋服を着せ、布団をかけ、夜はお湯入りのペットボトルをベッドに入れました。皮下輸液のあとはホットパックも。
しかし…10日経っても猫の食欲は戻りません。そんなとき猫がケホケホしていたので「誤嚥させたかも」と怖くなり、いったん強制給餌をやめることに。
悔いが残る強制給餌の再開。最期はガリガリに痩せ…
それから2日、猫は強制給餌から逃れてゆったり過ごしていました(ケホケホもなく)。さらにガリガリになりましたが、嘔吐はなく、ときどき水を飲んでほとんど寝ていました。
その間飼い主は「これでいいのだろうか」とネットで情報を探っていました。猫の強制給餌をした飼い主さんには「もう次はやらない」と決めたり、何匹か腎臓病で見送り「輸液だけ続けて安らかな最期を迎えた」という情報もあったのですが…。
飼い主は毎日弱っていく猫に「何もできないこと」が耐えられず、再び強制給餌を始めてしまったのです。猫はさらに弱った身体で抵抗しましたが、このときの飼い主はなぜか「流動食さえ食べさせれば明日も生きている。いつか回復する」という身勝手すぎる考えになっていました。
そのあと動物病院では、今回の悪化で使用しなかった抗生剤を注射してもらいました。これまで猫は2度3度抗生剤で回復してきたので、「もしかしたら」と期待しましたが…
それから3日が経っても抗生剤の効果は表れず。その晩の給餌が終わったときの猫の表情はあきらめたように見え…。
そして未明、グワッという声に目覚めると猫が苦しそうにのけぞっていて…飼い主は名前を呼んで身体をさすることしかできず…猫は亡くなりました。
猫の腎臓病末期は難しい選択が飼い主に課せられる
以上のように、末期の腎臓病の猫には「飼い主の選択」が迫られる場面がいくつかあります。
私の場合、ひとつは「入院と静脈点滴」で、猫の経験からやらないことを選択しました。が、今でも「1度だけでもやっていれば回復できたかも…」といった思いがよぎります。
もうひとつは「強制給餌の再開」。中断したときの猫の穏やかなようすと、再開したときの抵抗と表情を思い出すと、「あのときやめていれば…」という思いが拭えません。ちなみに流動食は「鼻カテーテルで投与」する方法もあり、腎臓病で食欲が落ちた猫に処置されます。愛猫の場合、かかりつけ獣医師が「シリンジ投与」を指示したので迷いませんでしたが、これは回復する見込みがなかったからでしょう。流動食の強制給餌方法は猫の腎臓病末期に迫られる選択となるので、飼い主さんは知っておいたほうがいいと思います。
試行錯誤の4年8か月。獣医師に感謝。
愛猫の腎臓病は2017年6月に健康診断の血液検査で判明しました。このとき症状はなかったのですが獣医師の勧めで療法食や吸着剤を始めました。翌2018年に「多飲多尿かな…?」思っていたところ食欲が低下。目の前が真っ暗になり、このときからラプロスや吸着剤の投与と療法食のほか、おやつやフードの塩分量や食物繊維の摂取などにも気を付けはじめました。
闘病期間は、腎臓病が判明してから4年8か月、症状が出てから3年3か月。獣医師は「病院に通ってくれて飼い主さんがいろいろやったからここまで寿命が延びた」とのこと。この言葉で気持ちが少し軽くなりました。
▼見送りは以前取材したことがあるペットPaPa(ペット火葬車)にて。
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※アイキャッチの写真は2021年12月に撮影したものです。
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