狂犬病の死亡率は99.9%!法律で定められた犬の狂犬病予防接種
死亡率99.9%!おそろしい狂犬病の現状と症状
狂犬病は狂犬病ウィルスが原因で、媒介動物の唾液に触れることで感染します。そのため、噛まれるだけでなく舐められる事によっても感染する可能性があります。狂犬病は人と犬に感染するだけでなく、哺乳類すべてに感染する病気です。日本国内では1956年以降発生していませんが※、まだ狂犬病が頻繁に発生している国もあるため、海外との交流が盛んな今日においては注意が必要です。
※輸入症例あり(1970年、2006年、2019年)。
感染した場合の潜伏期間は、人の場合は通常1~3週間程度、犬の場合は2週間~2か月(平均60日程度)と言われています。人では6年以上の潜伏期間の報告例もあるようです。
人の感染後の症状は、
- 前駆期:発熱、食欲不振、咬傷部位の痛みや掻痒感
⇓ - 急性神経症状期:不安感、恐水及び恐風症状、興奮性、麻痺、幻覚、精神錯乱などの神経症状
⇓ - 昏睡期:昏睡(呼吸障害によりほぼ100%が死亡)
狂犬病は発症した場合の死亡率が99.9%と言われる恐ろしい感染症であることを知っておかなくてはなりません。
犬の感染後の症状は、
- 前駆期:性格の変化と行動の異常
⇓ - 狂躁期:興奮状態(無目的な徘徊、目に入るものを頻繁に咬む)、光や音の突然刺激に対する過敏な反応
⇓ - 麻痺期:全身の麻痺症状による歩行不能、咀嚼筋の麻痺による下顎下垂と嚥下困難、舌を口外に垂らしながら流涎、昏睡状態になり死亡
※狂躁期と麻痺期を明確に分けることは困難なことが多く、前駆期から麻痺期に移行することもある。
犬の狂犬病予防接種は法律で定められています
狂犬病に根本的な治療はありません。何よりも有効なのは狂犬病予防接種であり、不可欠のものといえます。日本国内では狂犬病予防法に基づいて、生後91日以上の全ての犬は1年に1回、狂犬病の予防接種を受けなければなりません。接種時期は毎年4月から6月と決められています(初めての接種のときはこの時期は関係ありません)。
狂犬病予防法では居住する市区町村に飼い犬の登録をすることも義務付けられていますが、この登録をしておくと、狂犬病予防接種時期に役所(保険所)から、狂犬病予防接種の実施のお知らせが届きます(登録は一生に一度すれば良く、登録料は市区町村により3,000円程度とされています)。
狂犬病ワクチン接種は各市区町村から指定された方法でもよいですし、動物病院で個人的に実施しても問題ありません。狂犬病ワクチンの接種が完了すると、役所から注射済み票が発行されます(動物病院で実施した場合は、動物病院からの予防接種実施証明書を持って役所に行き、注射済み票をもらうようにしてください)。
犬の登録、狂犬病予防接種、鑑札・注射済み票の装着は怠ると罰則があります
狂犬病予防法では、この注射済み票と、登録がしてあることを証明する鑑札を併せて、犬に装着しなければならないことになっています。飼い犬の登録・予防接種・鑑札と注射済み票は、狂犬病予防法で義務付けられていて、これを怠ったときは罰則があることも知っておいてください。
犬の日頃からの感染症予防は、飼養環境を清潔に保つこと、犬の健康状態をチェックすること、そして、ワクチン接種の実施することが基本です。犬だけなく人の健康にも関わることなので、しっかりと予防を行ってください。
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