猫の下部尿路疾患を予防。猫に水を飲ませる5つの工夫

猫の下部尿路疾患

猫の水分摂取、第二弾です!前回お伝えしたのは猫に必要な1日の水分摂取量でした。今回は、あまり水を飲まない猫がかかりやすい猫の下部尿路疾患とその予防について。前回の記事であなたの猫の水分摂取量が足りていないと分かった方は、ぜひお試しください。

参考:「猫における水分摂取の重要性」徳本一義/マークモーリス研究所(米国ヒルズ・コルゲート社研究機関)

おしっこ関係の病気は猫の宿命

前回お伝えした通り、砂漠に住んでいた猫はあまり水を欲しないよう進化したため、オシッコ関係の病気が宿命となってしまいました。猫の下部尿路疾患と腎臓病はどんな猫でもリスクが高い病気です。

前回記事→猫に必要な1日の水分摂取量。あなたの猫は、充分、水を飲んでいますか?

多くの哺乳類同様、猫も腎臓でつくられた尿を尿管を通して膀胱に溜め、膀胱から尿道を通し排出します。腎臓から尿管までが上部尿路、膀胱から尿道までが下部尿路とされ、下部尿路疾患とは膀胱から尿道までに発症する病気の総称です。

症状は以下のとおり。思い当たることがあったらすぐに動物病院へ連れていきましょう。この時点で猫は痛みや辛さをガマンしています。早めに治療しないと、尿道閉塞からおよそ2日で急性腎不全と尿毒症を起こして猫の命に危険が及びます。

猫の下部尿路疾患の症状

  • 元気や食欲がなくなる
  • 何度もオシッコにいく
  • 血尿が出る
  • トイレへいってもなかなかオシッコが出ない
  • オシッコするときに鳴く
  • トイレ以外でオシッコをする
  • キラキラしたオシッコが出る

原因は膀胱炎と結石

猫の下部尿路疾患は、以下によるものがほとんどです(そのほかに、尿路感染、腫瘍、解剖学的異常による場合もあります)。

突発性膀胱炎尿路結石
下部尿路疾患のうち半分以上を占める。
細菌感染や結石を伴わない膀胱炎で原因は不明。ストレスによる免疫力の低下が関係していると言われる。
猫の下部尿路疾患のうち、約50%を占める。
尿中のミネラル成分と基質が凝集して結石化。
猫では尿のアルカリ化、マグネシウム過多によるストルバイト結石と、尿の酸性化、マグネシウム不足によるシュウ酸カルシウム結石が多い。
ストルバイト結石は若いオス猫に多く、シュウ酸カルシウム結石は老猫に多い。全体の約20%を占める。

突発性膀胱炎の原因は未だはっきりしていません。ですがこんな観察結果などがあります。

  • 突発性膀胱炎の猫数匹にドライフードとウエットフードを与えて観察したところ、ウエットフードを与えた猫は再発率が低下した。
  • 尿路結石は尿中のミネラル成分と基質が凝集してできるもの。水を十分に摂取して尿比重を低く(尿を薄く)保つことで結石の形成を阻害できる。

もっと水を飲ませて予防する

以上から猫の下部尿路疾患の予防は、十分な水分摂取であることが分かります。では、猫がもっと水を飲む工夫をご紹介します。

1.いろいろな場所に水飲みを置く

猫がご飯を食べる場所以外に水飲みを置いてみましょう。例えば、猫ベッドや猫トイレの近く、通り道などです。猫がふとしたとき水が飲めるよう数か所に水飲みを置いてください。

2.新鮮な水、猫好みの水を用意する

猫は汚れた水が嫌いです。水は毎日、新鮮なものを用意しましょう。水道水のカルキ臭を嫌う猫も多いようなので、湯冷ましや浄水した水を与えてみてください。硬水のミネラルウォーターは尿路結石のリスクを高めるのでNGです。また、以下のように水をおいしくする素材でできた水飲みもあります。

▼天然希土類やトルマリン等様々な鉱石を含む鉱物と、バイオセラミックスを焼成して作られた人工機能石が原料。水をまろやかにします。

3.流れる水飲みを用意する

蛇口から流れる水が好きな猫もいます。そんな猫には、水が循環する水飲みなら、もっと水を飲んでくれるかも。


4.おいしい水を用意する

いつもの水に一味加えて猫の興味を引きます。鶏ガラのスープやマグロ缶の汁などを少し水に加えてみましょう。

5.ドライを減、ウエットを増

ドライフードだけでなくウエットフードも与えてみましょう。水分の少ないウエットフードには、出汁などを加えてみてもGood。くれぐれも塩分過剰にはご注意ください。

高齢猫はさらに水分が必要

高齢猫は渇きへの感覚が鈍感になり飲水量が減ります。腎機能の低下からも慢性的な脱水に陥りがち。代謝障害や体温調節機能の低下は、潜在的な疾患を悪化させます。より水を飲ませる工夫が必要です。

また高齢猫には、嗅覚や味覚、消化機能の衰えへの考慮を。ウエットフードは体温くらいに温めてあげるとよいでしょう。

シニア猫は慢性的な水分不足で代謝機能が低下してしまう

秋冬に多発。ご注意を!

ヒルズ尿石分析サービス(米国ヒルズ・コルゲート社)によると、猫の尿路結石の検体数は夏は少なく、秋から冬にかけて多くなる傾向があります。猫も人同様に冬は活動量が減少して乾燥した空気が体内の水分を奪います。だから下部尿路疾患が発症しやすくなるのですね。

冬にこそ猫にもっと水を飲ませる工夫を。みなさんもぜひ、お試しください。

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